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「東京五輪の経済効果はどれくらいになる?」「仮想通貨の将来はどうなる?」etc…“投資の神”ジム・ロジャーズさんに色々質問してみた

 伝説的投資家と呼ばれるジム・ロジャーズ氏が、親交のある投資家サチン・チョードリー氏によるセミナーのため来日しました。niconicoではフリーアナウンサーの谷中麻里衣氏が成田空港までの車内でのインタビューをおこない、その様子が放送されました。

 トランプ政権下で影響を受ける産業や、仮想通貨、東京オリンピックがもたらす経済効果はどうなのか、また、ふたりの娘を持つロジャーズ氏の子供の教育方法について伺いました。

ジム・ロジャーズ氏
(画像はWikipdeiaより)

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トランプ氏が仕掛けた貿易戦争は間違っていると確信している

左から谷中麻里衣氏、ジム・ロジャーズ氏。

谷中:
 国はリーダーによって運命が決まるということですが、トランプ大統領についてはどうでしょう?

ジム・ロジャーズ:
 トランプは米国大統領に選出されたわけですけれども、何か正しいことをしたから選出されたんでしょう。でも彼は経済についてはあまり詳しくない、それから貿易戦争を引き起こしている。彼の周りの人もそれをけしかけている。貿易戦争というのは、成功した試しがない。しかし、彼は貿易戦争をいいことだと思い、さらに勝てると思っている。

 彼は歴史を知らないし、歴史よりも彼は賢いと思っているんでしょう。 私は彼が間違っていると確信しています。トランプ大統領は我々を皆殺しにしてしまうかもしれない。企業を倒産させてしまうかもしれません。

谷中:
 ではどういう国が最悪の影響を受けるでしょうか?

ジム・ロジャーズ:
 皆が影響を受けます。貿易戦争にかかわっていなくても、他の国が影響を受けますから影響を受けますよ。最も影響を受けるのはアメリカです。今の状況を見れば、日本も打撃を受けるでしょう。アメリカは日本を巻き込みたいと思っているわけですね。先週、そういった報道もありました。

 日本も貿易大国です。国内の債務が非常に膨らんでいます。日本、中国、ドイツも大きな貿易大国なので貿易戦争の影響を受けるでしょう。

谷中:
 どういう産業に注目されていますか?

ジム・ロジャーズ:
 農業がベストだと思っています。日本の農家の平均年齢は66歳に対して、アメリカは58歳です。農業に人が戻らなければ、食料も洋服もなくなります。イギリスにおいても、たくさんの農業従事者が自殺したりしています。最終的に農業従事者が無くなるか、あるいは転換してそこに才能、お金が集まるかどちらかだと思っています。

谷中:
 では良好な業界はどこだとお考えでしょうか? テクノロジーやAIはどうでしょう?

ジム・ロジャーズ:
 その分野は上昇していますよね。今、みんなバスに乗っているような状況ですから、私はそこから降りたくないという人ばかりでしょう。今、海外ではAmazonの株価は毎日上昇していますよ。Appleの株価も上昇しています。下がることはないです。私の投資の仕方はみんなとはちょっと違いますが……私はジンバブエのような惨憺たる状況【※】のところを買いたいと思います。

※ジンバブエのような惨憺たる状況
ジンバブエでは毎年数万%というハイパーインフレにより貨幣経済が崩壊してしまった。

谷中:
 テクノロジー株は危機的状況だと思いますか?

ジム・ロジャーズ:
 一部はそうでしょう。

谷中:
 では自動車メーカーは? 日本では自動車メーカーがかなり多いですが……。

ジム・ロジャーズ:
 もちろんそうですけれども、他の国にだって自動車メーカーはありますよ。

谷中:
 自動車メーカーはこれからどうなるでしょう?

ジム・ロジャーズ:
 日本はご存知の通り、自動車づくりにおいても世界でもベストの国です。でもアメリカはそれが気に入らない。トランプ大統領は日本人が上手に車を造ることを気に入っていないわけですね。日本に自動車で打撃を与えようとしている。ですから私は2018年、19年には自動車メーカーの株は買わないでしょう。

谷中:
 テスラ【※】について知りたいという視聴者もいると思いますが、いかがでしょうか?

※テスラ
アメリカ合衆国のシリコンバレーを拠点に、バッテリー式電気自動車と電気自動車関連商品、ソーラーパネル等を開発・製造・販売している自動車会社。

ジム・ロジャーズ:
 頭がよければ株を空売りするでしょう……私はそこまでその企業について知りません。株価はかなり上昇しているということは分かっていますが、私は高くなった株をあまり買いませんので、まだその企業について調査をちゃんとしておりませんね。しかし、詳しい方は「テスラは倒産する」と言っていますよ。

谷中:
 では、テスラの株は買いませんか?

ジム・ロジャーズ:
 私は買わない。もう青天井で株価が上昇し続けている、という株を私は好みません。それは私の投資スタイルではありません。そういうスタイルが上手な人もいますけれども、私は違います。

「仮想通貨は全部ゼロになると思います」

谷中:
 彼(番組スタッフ)はビットコインをたくさん持っているんですけれども、仮想通貨についてどう思いますか?

ジム・ロジャーズ:
 彼は頭がいいんでしょうね。彼はきっと私よりもお金持ちですよ(笑)。私はおそらく、仮想通貨の価値は全部ゼロになると思います

谷中:
 どのくらい近い将来に価値がなくなるんでしょうか?

ジム・ロジャーズ:
 5年以内に価値がなくなるでしょう。もっと時間がかからないかもしれない。多くがもうすでに価値がゼロになっています。

谷中:
 では、今仮想通貨を持っている人は売ったほうがよい、ということでしょうか?

ジム・ロジャーズ:
 彼は私よりも頭がいいから私の助言なんて必要ないでしょう(笑)。成功する方式は、自分の知っているものに投資をするということで、私よりも彼は仮想通貨についてよく知っているということでしょう。すぐにタイミングよく仮想通貨から撤退しないと、もしかしたら全て失うかもしれない。だから私が助言するというよりも、彼から助言をいただいて、ビットコインに投資しましょうか(笑)。

 すべてのお金がインターネットに乗るということは間違いない。通貨なんてなくなります。中国に行けばもう現金は使っていませんよ。コーヒーやアイスクリームが中国では現金で買えなかったんです。アイスクリーム屋で中国の現金を持っていたけれど、「現金はダメ」って言われたんですよ。外国人で現金しか持っていないと何も買えない。だから現金はなくなっていくだろうと思います。

 韓国は全ての取引の89%は現金以外です。政府だってそれを望んでいるんです。なぜなら現金はお金がかかりますから、造幣しなくてはならない、記録しなくてはならない、登録しなくてはならない、お金がかかりますよね? 全部がデジタルだったらコンピューターでできるんです。でも、そうしたら政府に全部管理されますよね? あなたの一挙手一投足、全部知られることになります。

谷中:
 そういう状況だから仮想通貨は登場したんですよね?

ジム・ロジャーズ:
 100年前、お金の代わりにいろいろなものを使っていました。金貨とか……銀行が勝手に印刷をやったり、貝殻を使ったりしていましたね。1930年、イングランド銀行は当時最も重要な中央銀行だったんですけども、自分たちが造札する、と。つまり「あなたが貨幣を作ったなら死刑にしますよ」と言ったんです。

 それで「イングランド銀行が発行したお金しか使えません」ということになりました。仮想通貨もそうなるんじゃないでしょうか? 政府が「あなたはこれをやったならば刑務所に入れますよ」、あるいは「死刑にしますよ」と。仮想通貨に投資する人達は政府よりも頭がいいと思いますよ。この番組のディレクターさんのほうが、政府よりも頭がいいですね(笑)。

 でも銃を持っているのは政府です。だから結局は銃が武器が勝つんです。私はそんな状況は気に入ってませんよ? でも私は銃や武器を持っていないですから。

谷中:
 では我々のような銃を持っていない人間に対しての投資アドバイスは何かありませんか(笑)?

ジム・ロジャーズ:
 日本で10歳の子供は射撃場に行って、射撃のレッスンを受けなさい。なぜならば日本にずっといたならば、銃を使わなくてはならない状況に陥るぐらい、ひどい状況になると思いますから。とにかく自分の知っている分野に投資しなさい。

 私の声なんて聞かないようにして、インターネットやテレビに出る人の声を聞かないようにしなくてはならない。結局世の中に出たら、そういう人ばかりに頼っていると何も分からなくなっているんです。特に時代が悪くなると自分の知っていること、知っている分野しか投資しないようにするということ。その投資が悪ければ待つことですね。

 ある賢い女性がテレビに出て「投資は簡単だよ」ってその人は言っていたんですよ。でも、投資って簡単じゃないんですよ。「自分の分かっているものにしか投資するな、分からなければ投資するな」。とにかく私の言うことなど聞かないようにする。谷中さんやこの番組のディレクターさんの声を聞いてもいいかもしれないけれども(笑)、少なくとも私の言うことなんて聞かないようにする。

 自分の知っていることにしか投資しないようにするということです。

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