熱中症対策は水分補給だけじゃダメ? 間違った知識が招いた熱中症事故を解説
今回紹介するニコニコ動画は、『【2010年鹿児島】エアコン、水分補給…対策していたにも関わらず、熱中症になってしまった男性【ゆっくり解説】』というゆっくりするところさんが投稿した動画。
気を付けていたのに熱中症になってしまったサラリーマンの事例について、音声読み上げソフトを使用して解説しています。
クーラーも水分補給もバッチリだったのになぜ?
魔理沙:
さてと、今回はリクエストの中から、「熱中症」に関する事例を紹介したいと思う。
霊夢:
熱中症かぁ……。毎年夏になると、ほんとに熱中症になる人多いみたいよね。
魔理沙:
ああ。消防庁のデータによれば、令和3年、5月から9月までに緊急搬送された熱中症患者の数は、全国で累計約5万人近くおり、近年で最も多かった、平成30年から減少傾向にあるものの、それでも毎年多くの人が熱中症に罹っていることがわかる。
霊夢:
そんなに沢山いるんだ……。でも、そういえば夏場になるとよく救急車を見る気がするわね。
魔理沙:
場所によってはそうかもな。
今回も例によって、その紹介の一部でショッキングな表現をせざるを得ない部分がある。それに、これはあくまでも概要を伝えるものであり、すべての事柄を詳細に、正確に解説する動画ではない。なので、以上のことを理解し、了承できる人のみ視聴・コメントしてくれ。
霊夢:
う……熱中症って後遺症とか残る怖い病気なのよね……。聞くのも怖いけど……今ちょうど夏で知っておいたほうがいいこともあるでしょうし、おっけーおっけーしてみるわ。
魔理沙:
ヨシヨシ、過去の事例から学ぶことは大事だからな。
2010年7月。鹿児島県に暮らす男性「Aさん」。彼は市内の会社に勤めるサラリーマンで、営業を担当しており、この日は一日中外回りをすることになっていた。
霊夢:
真夏の外回りとか大変そうね……。
魔理沙:
ああ。しかもこの日は最高気温32度を超える真夏日。彼はこの日、少し寝坊してしまったため、朝食を抜いて急いで出勤した。
そして会社に到着後、社用車に乗り換え、さっそく営業に出かけた。午前中に数件ほど営業に回り、時刻は昼前。外の気温はどんどん上昇していたため、Aさんは運転をしながら、車内の冷房を強め、涼をとりながら移動していた。
霊夢:
車で移動できるなら、エアコンつかえるからまだマシね……。
魔理沙:
それでも、歩き回らなければいけなかったので、彼は営業先に行くたびに、大量の汗をかいていた。Aさんは、この気温の高さとかいた汗の量から、熱中症になることを恐れ、度々コンビニなどにたちより、飲み物を購入して飲んでいた。
霊夢:
熱中症対策、大事。
魔理沙:
彼はスポーツドリンクが苦手だったので、口当たりのすっきりした、アイスコーヒーを購入し、水分補給を行った。
霊夢:
暑い日のアイスコーヒーって美味しいのよねぇ。
魔理沙:
水分だけでは体力が持たないと考えたAさんは、昼になると定食屋により、しっかりと栄養を摂り、午後の外回りに備えた。
霊夢:
ごはんをちゃんと食べるのも大事よ。
魔理沙:
午後からは外回りの前に、会社の商品サンプルを運ぶ作業があったため、Aさんは気合を入れるために昼食をとっていたそうだ。
午後の仕事が始まると、彼は会社の倉庫で約1時間ほど、段ボールに積まれたサンプル運びを行った。そしてAさんはまた汗だく状態に。当然、喉もカラカラになっていたため、彼は再びアイスコーヒーを購入し、水分補給を行った。
しかし、このころから異変が出始めた。
霊夢:
えっ……。
魔理沙:
荷物運びを終え、外回りを再開したAさんだったが、先ほどから妙に体がだるく、足が重い。それでも彼は我慢し、営業を続けていたが、症状は次第に悪化。
とても運転を続けることができず、近くのコンビニの駐車場に車を停めた。今度は強い吐き気を感じ、激しい頭痛の症状まで現れ始めた。
霊夢:
それって……。
魔理沙:
車の中で頭を押さえながら少し横になっていたAさんだったが、今度は猛烈な寒気に襲われ、体がガタガタと震え始めた。
霊夢:
えぇぇぇぇ!? 何その症状……。
魔理沙:
しかも、手足がしびれているような感覚になり、上手く力が入らない。意識も朦朧としている中、彼は車のドアを開け、コンビニに入ろうとしたが、その途中で意識を失い、倒れてしまった。
この様子を見ていたコンビニ店員が、救急に通報し、彼は近くの病院に搬送されていった。到着後、すぐに検査が行われた。彼は40度を超える高熱を出しており、中度の熱中症に罹っていると診断された。
霊夢:
熱中症……。でも、Aさんはちゃんと飲み物も飲んでたし、ほとんどエアコンが効いた車の中にいたんじゃないの?
魔理沙:
確かに、彼は営業のための移動中、車内をかなり冷やしていたし、その合間には飲み物を飲んでいたし、昼食もしっかりと食べ、Aさんは熱中症対策をしていた。
しかし、彼の対策法は根本的に間違っている部分があった。
霊夢:
間違い?
魔理沙:
それは、水分補給のために選んだ飲み物が、「アイスコーヒー」だったこと。彼がこの日補給していた水分は、そのほとんどがアイスコーヒーだった。
コーヒーには、カフェインが多く含まれており、眠気を覚ます効果や、多く摂取すると体を冷やす効果などがあるが、非常に強い利尿作用があった。
これには個人差があるが、カフェインが効きやすい体質をしている場合、飲んだコーヒーの量以上に、体の水分が尿として排出されることがあるんだ。
霊夢:
あっ……。それで脱水症状になってたとか?
魔理沙:
そうだ。Aさんもカフェインが効きやすい体質だったため、コーヒーを飲むたびに、何度も何度もトイレに寄っていた。彼は熱中症対策として、水分をしっかりとっているつもりになっていたが、そのほとんどが尿として排出されてしまい、むしろ逆効果になっていた。
霊夢:
こわぁ……。
魔理沙:
そんなことになっているとは夢にも思っていなかった彼は、知らず知らずのうちに体の水分を失っていき、脱水症状を起こし、熱中症に罹ってしまっていたんだ。
霊夢:
そんなことが……。
魔理沙:
さらに、彼が熱中症になった原因はもうひとつあった。それは、朝食を何も食べていなかったこと。
霊夢:
え、朝ごはん?
魔理沙:
ああ。実は人が1日にとる水分の約半分は、食事から摂取されるといわれており、彼は1日3回ある重要な栄養摂取の機会を1度失っていた。
また、朝食は活動するために必要な三大栄養素、そして塩分やミネラル補給の意味も大きく、非常に重要な役目があったんだ。
だが、彼は寝坊したことで急いでいたため、朝食を抜いた状態で、仕事をはじめてしまった。つまり彼はこの日の午前中から、本来熱中症対策に必要とされている、塩分やミネラルが不足した状態だった。
その上に、コーヒーをがぶ飲みして水分を失ってしまったため、熱中症になっていたんだ。
霊夢:
そういうことだったんだ……。
魔理沙:
Aさんはその後、1日点滴を受けて回復し、無事に退院することができたそうだけどな。
霊夢:
よかった……。
魔理沙:
熱中症対策で、エアコンを適切な温度で使うこと、そして水分補給を行うことが最も大切だと言われるが、水分の補給先を誤ると、このように恐ろしい事態を引き起こしかねない。
彼の場合は、幸いなことにすぐに回復したが、熱中症は稀に重大な後遺症を残すことがあるため、決して侮ってはいけない病気なんだ。
霊夢:
それよくきくわよね……。
魔理沙:
具体的には、中枢神経障害、高次機能障害、嚥下障害、小脳失調、失語、歩行障害、パーキンソン症候群などの後遺症が残る場合がある。
これは中枢神経、つまり脳と脊髄にダメージが残ってしまうために発生する障害で、熱中症のレベルが深刻であればあるほど、後遺症のリスクも高まる。
霊夢:
熱中症にもレベルがあるの?
魔理沙:
ああ。熱中症の症状の重さは、軽度、中度、重度の3段階あり、軽度はあくび、めまい、筋肉痛、大量の発汗など。中度は頭痛、集中力、判断力の低下、嘔吐、倦怠感など。
重度になると、意識障害や全身の痙攣、体温上昇などが起こる。Aさんは中度と診断されたが、症状からみればほとんど重度と言ってもいいレベルだった。
霊夢:
こわぁ……。一時的なものとは限らないんだ……。
魔理沙:
熱中症対策に、お茶やコーヒーなどを選んでしまう人もいるが、これらにはカフェインが含まれており、寧ろ水分を失ってしまうことになるので、熱中症対策の飲み物としては適切ではない。
また、当然ながらアルコールも適さない。これも利尿作用があるためだ。
霊夢:
喉が渇いたときのビールは美味しいってきくけど、あれってむしろもっとのどが渇く状態になっちゃうのね……。
魔理沙:
夏場は汗だけではなく、尿からもミネラルやナトリウムの喪失が激しく、ただでさえ脱水症状のリスクが高い状態だ。仮にエアコンが効いた室内にいたとしても、水分補給方法などが間違っていれば、今回のように熱中症にかかることがある。
夏場におしゃれなカフェで、アイスコーヒーや甘い飲み物などを購入し、それを飲んで水分補給した気になって、Aさんのように熱中症にかかってしまうというケースが若い人の間で多い。
霊夢:
あ~、ありそう……。
魔理沙:
カフェインのように利尿作用のある飲料は、基本的に水分補給の手段として適切ではないんだ。
霊夢:
じゃあどうやって予防したらいいの?
魔理沙:
厚生労働省が発表している、「熱中症対策ガイドライン」によれば、食塩相当量が100mlあたり0.1から0.2g以上の飲料が適切と言われており、スポーツドリンクや、経口補水液などでの補給が推奨されている。
ただし、スポーツドリンクには糖分が含まれているため、過剰に摂取すると急激に血糖値が上がり、急性の糖尿病状態となってしまうため、注意が必要だ。
霊夢:
前に紹介した事例で大変なことになってたもんねそれ……。
魔理沙:
体温が上がることを防ぐことも大事だが、失われていく栄養素を、適切に補給することも大事なことなんだ。
霊夢:
ほんとそうね……。お茶とかコーヒーでも、なんとなく水分補給できた気になっちゃってる人もいるでしょうし、私も結構がぶ飲みしちゃうから、これからは気を付けるわ……。
魔理沙:
ああ。わが国は今一年で最も暑い時期に入り、猛暑日になることも少なくないし、節電呼びかけなども行われているが、適切な熱中症予防方法をとって、安全に夏を乗り切りたいもんだな。
それでももし万が一、熱中症が疑われる症状が出た場合、すぐに救急などに通報し、助けを呼ぶことを勧めるぜ。熱中症は時間経過でその症状がどんどん重くなっていくため、早い段階での対処が重要となる。
先述した3段階のうち、中度から重度への移行は早く、また重度になってしまうと、後遺症が残る確率も上がってしまうからな。
霊夢:
こわぁ……。早く治療することも大事なのね。
魔理沙:
ああ。熱中症に関しては我慢するのが一番良くないからな。
近年は30℃超えが当たり前になってきていますが、正しい水分補給や対策を理解して、熱中症を防ぎたいものですね。
解説をノーカットで聞きたい方はぜひ動画を視聴してみてください。
『【2010年鹿児島】エアコン、水分補給…対策していたにも関わらず、熱中症になってしまった男性【ゆっくり解説】』
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