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間違って「トリカブト」を食べたことで命の危機に… 2025年に神奈川県で起きた誤食事件を解説

 今回ご紹介するのはゆっくりするところさんがニコニコ動画に投稿した『【2025年】『命を奪う猛毒お浸し』食用野草と間違えて食べていたのは「最も有名な猛毒草」トリカブト誤食事故【ゆっくり解説】』です。

 気温は連日20度を超えるようになり、いよいよ行楽シーズン本番という日が多くなってきました。
 ちょうどゴールデンウィークということもあり、やはりどこかに出かける方も多いのではないかと思います。この暖かな気候の中、山菜狩りなどに出かけるのも一つの選択肢です。
 今回はそんな山菜狩りに潜む脅威について投稿者のゆっくりするところさんが解説します。


■突然の体調不良…その原因は?

魔理沙:
 2025年4月9日神奈川県鎌倉市内の病院にこの日1人の女性が緊急搬送されてきた。
 女性は唇、手足のしびれ、吐き気、めまいの症状を訴えており、医師たちはすぐに処置と検査を開始。事情を聞いたところ、何らかの有毒物質を飲み込んでしまったことによる中毒症状だと思われたため、胃洗浄などが行われた。
 不幸中の幸いか、処置が早かったため命に別状はなかったが、彼女はそのまま入院することに。

霊夢:
 よかった……。
 でも、毒物って何を飲み込んでたの?

魔理沙:
 原因と発症経緯についても解説するんだぜ。緊急搬送されていた女性は市内に暮らす60代の女性Aさん。
 彼女が落ち着いた頃、医師は発症までの経緯などを詳しく聞き取ったところ、毒物の誤食による食中毒だった可能性が浮上した。
 Aさんは少し前まで秋田県に旅行に出かけており、その際山で春の山菜、食用野草などをいくつか採取し、自宅に持ち帰っていたという。

霊夢:
 嫌な予感……。

魔理沙:
 Aさんはこの日、採取した野草の中の「ニリンソウ」をお浸しにして食べていたが、しばらくして口やのどのしびれ、強い吐き気、麻痺といった症状に襲われ緊急搬送されていた。

 ニリンソウというのは、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、山地や林床などに群落を作って生息しており、春山を代表する花の一つだ。
 ニリンソウの多くは、一本の茎から特徴的な花が二輪ずつ寄り添って咲くその姿から、「二輪草」という和名が付いたと言われている。
 この植物は別名「フクベラ」「ソバナ」「ヤマソバ」などと呼ばれることもあり、この季節の若い葉っぱは柔らかく、山菜として利用することができる。

霊夢:
 食べられる草だったんだこれ……。

魔理沙:
 花やつぼみ、茎に葉っぱと、地上に出ている部分すべてが食用として利用できる。
 多少の灰汁があるためゆでて水にさらす必要があるものの、さっぱりとしたタンパクな味わいとシャキシャキとした歯触りの良い食感が特徴で、お浸し、和え物、煮びたし、汁の実などに古くから利用されてきた。

 しかし、ニリンソウには少ないが、「プロトアネモニン」という有毒成分が含まれており、食べ過ぎると胃腸にダメージを負う場合もあり、過食には注意が必要な山菜の一つとしても知られていた。

霊夢:
 じゃ、じゃあAさんはそれを食べすぎたんだ……。

魔理沙:
 しかしAさんは体調不良を起こすほど大量に摂取していたわけではなく、またその症状もニリンソウの有毒成分によるものとは違っていた。
 そのため医師はAさんが食べていた野草というのが実はニリンソウではなかったのではないか? と考え、保健所に連絡。

 その後Aさんの自宅にあったお浸しの残品が成分分析に回された。

 その結果恐ろしい事実が判明。なんと、Aさんがお浸しとして食べていたのは、「日本で最も有名な猛毒草」と呼ばれる、「トリカブト」だったんだ。

霊夢:
 トトト、トリカブト!?
 それってめちゃくちゃ怖い毒草じゃなかったっけ……?

魔理沙:
 そう、トリカブトはキンポウゲ科トリカブト属の総称で、有毒植物の一種として知られる多年草の中の「疑似一年草」という、毎年一度枯れて先端の芽だけで越冬する植物の一種だ。
 種類にもよるが、根、茎、葉っぱ、つぼみ、花すべてに致命的な毒を持っている。

 毒の主成分はジテルペン系アルカノイドの「アコニチン」であり、その他にもメサニコチン、アコニン、ヒパコニチンなど、複数の有毒成分を持っている場合がある。
 地域や個体によってその毒性の強さは異なるが、基本的にはごく小量でも深刻な健康被害をもたらす。

霊夢:
 本物は見たことないけど、かなり昔から怖がられてる植物の一つよね。

魔理沙:
 そうだな。かなり古い時代から狩猟などに用いられてきた歴史のある毒草でもある。
 根っこの部分が最も毒性が強いと言われているが、それ以外の新芽や若葉を誤食してしまっても、嘔吐、呼吸困難、しびれ、痙攣などの中毒症状、心室細動や心停止、呼吸困難による窒息の症状を引き起こし、最終的には死亡してしまう。
 場合によっては、素手で触っただけでも中毒症状を起こすし、花の蜜や花粉にも花粉にも毒素がある。

霊夢:
 さ、触っただけで……。

魔理沙:
 そしてさらに恐ろしいのが、この毒に対しての特異的な療法や、解毒剤がなく、拮抗剤も存在しないところだ。
 そのため処置としては胃洗浄などを行った後、吸着剤と塩類下剤の投与を行い、体内から毒素をなるべく排出させ、その後呼吸・循環管理などを行うしかない。

霊夢:
 こここ、こわぁ……。

魔理沙: 
 その後、Aさんは数日の入院治療を受けた後無事に退院し元の生活に戻ったという。

霊夢:
 よかった……。
 よくトリカブトを食べちゃってたのに助かったわね。

魔理沙:
 保健福祉事務所はAさんの食中毒事故について、秋田県内で食用野草のニリンソウとトリカブトを混同し、誤植したことで食中毒が発生していたと断定した。

霊夢:
 ちょっと気になったんだけど、さっきトリカブトもニリンソウもキンポウゲ科って言ってたけど、結構似てるものなのかしら?

魔理沙:
 ああ、実はキンポウゲ科の植物というのは基本的に有毒な種類が多く、むしろニリンソウは同科の中でも数少ない食用にできる野草だった。
 花やつぼみは色も形も大きさも全く違うが、花がついていない若葉の時期は、トリカブトやウマノアシガタといった毒草の若葉に酷似しており、これらの植物は同じ場所に混成していることが多い。

 そして、ニリンソウとトリカブトはよく見れば葉っぱの厚み、切れ込み方に違いがあるものの、素人が見分けるのはほぼ不可能と言われることもある。
 そのため採取する際には誤認を防ぐため、つぼみや花を確認してから行うことが望ましいとも言われているが、Aさんの場合はニリンソウを食用目的で採取していたため、誤認しやすい若葉を摘んでおり、それがニリンソウではなくトリカブトだったんだ。

霊夢:
 そういう事だったんだ……。
 確かにお花がついてると全然違うってわかるけど、若葉の状態だとおんなじ草にしか見えないわ……。

魔理沙:
 ニリンソウは春に白い花をつけるのに対し、トリカブトは夏から秋にかけて兜のような形の青紫色の花をつけるので、花がついている状態で間違えることはあまりないかもしれない。
 だが、春の時期に関してはトリカブトの誤認による食中毒が国内で過去何度も発生しており、死亡事例も決して少なくない。

霊夢:
 予防するにはどうすればいいのこれ?
 あまりにも似すぎているから、取らない方が安全かしらね……。

魔理沙: 
 そうだな、トリカブトの若菜を別の食用野草と勘違いし、食べてしまい食中毒にかかるという事例は基本的に、山菜狩りが盛んになる3月から4月にかけて集中する。
 そのためこの時期になると政府自治体は、こういった食中毒を防ぐため、

「トリカブトによる中毒は重篤になりやすい。経験者からしっかりと実地教育を受けるとともに、毒草を見分けるためには日頃から自然に親しむ必要がある」

 と注意喚起を行い、食用の野草と確実に判断できない植物は、絶対に「採らない!」「食べない!」「売らない!」「人にあげない!」を徹底するように呼びかけた。

霊夢:
 ここまで似てるとベテランの人でも間違えちゃいそうだしね……。
 でも、万が一食べちゃったらどうしたらいいの?

魔理沙:
 もし野草などを食べて、しびれや吐き気、嘔吐といった典型的な中毒症状が起きた際は、速やかに医療機関を受診し、医師の指示に従うことが大事だ。
 解毒剤などがなかったとしても、毒素が全身に回る前に、できるだけ早く治療を受けることが生死を分ける可能性もあるからな。

 その際、原因と思われる植物が残っている場合は、治療の参考になる場合があるので、必ず受診の際に持参するようにしよう。また残品が残っていない場合でも、植物の種類だけでも伝えれば、誤認してしまった毒草の種類の特定が早くなる可能性がある。

霊夢:
 なるほど、成分とかによっては治療方法が変わるなんてこともありそうだし、それって結構大事なことね。

魔理沙:
 そうだな、なので山菜などを取った時は食べる前にその草を写真に収めておくのもいいかもしれない。
 万が一それで症状が出た場合も、写真があれば原因特定が早くなるかもしれないからな。

 今の時期はちょうど気温も高くなり、山菜狩りにはうってつけの陽気になっているが、こういった事例を知り同様の事故の当事者にならないように細心の注意を払って山菜狩りなどの活動を楽しんでほしいな。

 

 実はニリンソウにそっくりなトリカブト。その毒性などについての解説でした。見間違わないように知っておきたいと思われた方はぜひニコニコ動画でご視聴ください!


▼動画はこちらから視聴できます▼

【2025年】『命を奪う猛毒お浸し』食用野草と間違えて食べていたのは「最も有名な猛毒草」トリカブト誤食事故【ゆっくり解説】

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