「湖の上で船が燃えている!」 嘘の通報で警察、沿岸警備隊が出動 懲役刑と5000万円支払い命令が下って人生が終了したアメリカの少年の末路
今回紹介する動画は、ニコニコ動画に投稿された『【2013年米国】少年「湖の上で船が炎上してるぞ!」虚偽通報を行い、懲役刑と5000万円支払い命令が下り人生終了【ゆっくり解説】』というゆっくりするところさんの動画。
「湖の上で船が炎上している」という嘘の通報が巻き起こした騒動について、音声読み上げソフトを使用して解説しています。
虚偽通報をした少年の末路
魔理沙:
今回紹介するのは、1人の男性がついてしまった、とある「嘘」に関する事件だぜ。
霊夢:
なんか珍しい入り方するわね。
魔理沙:
これはちょっと変わった内容になるからな。今回はショッキングな表現などは含まれてはいないが、これはあくまでも概要的な解説動画になるので、その辺だけあらかじめ注意しておいてくれ。
それじゃ早速本題に入るぜ。アメリカ合衆国、中西部の北東にある「オハイオ州」。この州には、北アメリカに存在する「五大湖」のうちの1つである、「エリー湖」がある。
霊夢:
あ、エリー湖って名前は聞いたとこあるわね。
魔理沙:
この湖は25821平方キロメートルという、世界で13番目に広い面積を持つ湖で、イエローパーチやウォールアイなどの漁業が盛んで、地元民はもちろん、国内外様々な場所から観光客が訪れる場所だ。そんなここエリー湖の上空から、2014年のある日、空港に無線通信が入った。
霊夢:
上空から?
魔理沙:
「エリー湖の上で、船が燃えている!」
通報を行ったのは「Aさん」当時19歳の男性。彼は市内の大学に通う学生で、パイロットライセンスを持っており、この日はエリー湖上空を飛行機で飛行中、湖の上で炎上している船を発見していた。
霊夢:
大事件じゃないの……!
魔理沙:
彼は通報先の空港から、「状況をもっと詳しく教えてくれ」と求められたので、「船と言ってしまったが、確証は持てない。」「だが、船らしきものの上から、発煙筒の煙と、ストロボが見える」と話し、「近くにライフジャケットを着た4人が乗った漁船もある」と続けた。
返信を受けた空港は、湖上で事故が発生したものとみて、警察や沿岸警備隊に通報を行った。この通報を受けた沿岸警備隊は、直ちにエリー湖に40メートル超の警備艇を派遣。さらに人命救助のため、救命ボート3隻と、救急ヘリコプターも出動。被災者たちの救助を急いだ。
霊夢:
大変なことになってる……。
魔理沙:
しかし現場に警備艇などが到着し、問題の船舶を探したものの、Aさんの話していたポイントは、数キロ先を漁船が航行中だったものの、炎上している船は1隻もなかった。
霊夢:
もうイヤナヨカーンがしてるんですけど……。
魔理沙:
沿岸警備隊は、Aさんから話を聞くも、彼も最初に発見して、エリー湖を通過して以降は、問題の船を確認できていない。ということだったので、さらに沖に流された可能性や、沈没した可能性なども考慮し、警備隊は応援を要請し、すぐに大規模捜索を開始した。そしてカナダ空軍も出動。
霊夢:
あれ? ここアメリカだったんじゃなかったっけ?
魔理沙:
エリー湖はカナダにも面した湖だったからだ。
霊夢:
あ、なるほどね。
魔理沙:
戦術輸送機である、CC130ハーキュリーズも現場に急行し、さらに本格的に被災者たちの捜索が始まった。この捜索は翌日も続けられ、計21時間以上行われたものの、被災者はおろか、問題の船舶の痕跡すら見当たらなかった。
霊夢:
それって……。
魔理沙:
この事件は地元ニュースなどでも取り上げられ、遭難事故、神隠しなどと呼ばれた。市民はこの不可思議な事件に首をかしげていたが、結局、エリー湖で水難事故が発生したという事実は確認できなかった。
沿岸警備隊、そして地元警察は、この騒動に対して疑念を抱き、通報した少年、Aさんの取り調べを行うことになった。Aさんは何度か警察に事情聴取され、当時の詳しい状況などの聞き取りに応じた。
彼の話によれば、「確かに湖の上から煙が上がっているのを見た。」「船かどうかはわからなかったが、その近くに救助に向かったと思われる漁船がいた」「その漁船の甲板にはライフジャケットを着た人が4人は見えた」ということだった。
しかし、当時エリー湖で漁を行っていた漁船は限られており、それらの船員などにも事情を聞いたところ、「近くで漁をしていたが、煙なんてみえなかった」「仕事をしていたら、突然警備隊の船が近づいてきたので驚いた」「ニュースも見ていたが、漁師仲間の間でも、誰も炎上した船の詳しい情報は知らなかった」と話しており、Aさんとそれ以外の人々と、かなり証言が食い違っていたこと、そして問題の船舶に関する情報もほぼなかったことから、警察は「虚偽の通報だったのではないか」と考え、彼をさらに取り調べ、問い詰めた結果、彼は1か月前の通報は、「すべて嘘だった」と認めた。
霊夢:
やっぱり……なんでそんなことしたのよ……。
魔理沙:
この事実が判明すると、警察は彼を虚偽通報の容疑で逮捕。書類送検した。彼はその後起訴され、その裁判でAさんは、3か月の禁固刑、アメリカ沿岸警備隊に、27万7000ドル、カナダ空軍に21万2000ドルの、計48万9000ドルの賠償金を支払うように命じられた。
霊夢:
よ、よんじゅうはちまんどる……それって何円くらいなの?
魔理沙:
この当時の円の価値で言えば、これは約5000万円近い賠償額だった。
霊夢:
イヤアアアアアアア!!!
魔理沙:
彼の弁護士は、「Aさんの支払い義務は、沿岸警備隊への出動費用、約11万8000ドル(日本円にして約1200万円)のみであり、カナダ空軍には支払う必要はない」と主張した。また、「こういったケースでの賠償額は、実際の損害額の範囲に限られるべき」「そうでなければ、被告はたった1回の失敗で、今後何十年も支払いを行わなければならなくなる」と弁護した。
実際、虚偽通報でここまでの大事、それも高額の賠償請求が行われるケースは珍しく、陪審員は裁判所の裁定に理解を示した一方で、判事の1人は法外な賠償額に異議を唱え、またこの事件、裁判を知った国民は、彼のことを非難する人、擁護する人もそれぞれ多く、本当にいろんな意見が飛び交っていた。
霊夢:
でも、どうしてAさんはあんなウソついたのかしら。別に自分には何の得もないじゃないの。
魔理沙:
彼が通報を行った理由は、「特にない」。
霊夢:
ハァ?
魔理沙:
彼はただ単に、いたずらのつもりで、深く考えずにあの通報を行っていたんだ。
霊夢:
そんなバカな……。
魔理沙:
最初はただの冗談のつもりで通報をしていたんだろう。しかし、彼は自分の行いによって、周りの人間にどのような影響を及ぼすのかが想像できていなかった。彼の想定よりも、事態ははるかに大事になっていき、そうするうちに彼は嘘に嘘を重ね、真実を話すにも話せなくなってしまっていたんだ。
霊夢:
どれだけの人が動いたと思ってるのよ!
魔理沙:
本当にその通りだ。警察や救急、沿岸警備隊に空軍などの機関は、緊急時や災害時には、文字通り命を懸けて、人命救助を行うことが任務であり、例えたった1人の遭難者のためだったとしても、何十名、何百名もの隊員が出動することもある。
特にこの沿岸警備隊などは、国の機関の中でも、比較的振り分けられている予算が少ないところでもあり、こういった虚偽報告による出動は、かなり手痛い出費になってしまっていたという。
霊夢:
飛行機とかヘリの燃料とか、色々お金がかかりそうだもんね……。
魔理沙:
それに何より、このような大規模出動になれば、他の事故や事件に割けるリソースがなくなり、本来助かっていた命が失われてしまっていた可能性だってあるんだぜ。
霊夢:
確かに……そう考えるとかなり重い罪よねそれ。
魔理沙:
ちなみに、わが国で警察に嘘の通報を行った場合、軽犯罪法の「虚構の犯罪、または災害の事実を公務員に申し出た者」にあたり、拘留または科料の刑で罰せられる可能性がある。
霊夢:
拘留って、逮捕みたいに捕まえられちゃうことだっけ?
魔理沙:
というより、身柄を拘束されることだな。逮捕とは違うが、1日以上、最大で30日間身柄拘束を受けることをいう。科料というはお金を支払うように命令が下る刑罰のことだな。これは最低で1000円以上、1万円未満の支払いとなる。
霊夢:
なんか日本はちょっと緩い感じにみえるわね。
魔理沙:
また、例えば誰かを陥れるために、虚偽の通報や告訴などをした場合、刑法172条の「虚偽告訴等の罪」が適用される。この罪は先述したものよりも非常に重く、3か月以上、10年以下の懲役刑になる場合もある。
ただ、これらはいずれも刑事訴訟の話であって、民事訴訟の賠償金は含まれていない。民事訴訟になれば、ケースバイケースになるが、これとはけた違いの賠償金額になるハズだ。
霊夢:
そういえば、電車で自殺した人の遺族とか、ものすごい額の賠償請求がいくとか聞いたことあるもんね。
魔理沙:
人身事故を起こし、それが自殺目的だと断定された場合は、鉄道会社側が遺族側に損害金を請求することはあるな。これは事故車両の修理費用に始まり、列車が停まったことや、乗客への払戻金、タクシー代なども含まれる。
その規模が小さく、停車していた時間がごく短い時間だった場合は、数万円の賠償額にとどまるケースもなくはないが、例えば通勤ラッシュや帰宅ラッシュ時などの、乗車人数やその影響を受ける人の人数が、数千人から数万人に上る場合は、1000万円以上の請求が行われることもある。
霊夢:
いっせんまん……。
魔理沙:
それ以上になることもあるが、その他の事例と同じように、被告側に支払い能力がない場合は、現実的に鉄道会社側が回収できる見込みのある金額に調整されることも多く、実際に数千万円の請求が、数百万円まで下げられて和解となったケースもある。
霊夢:
それでもすごい額だけど、公共性が高い物はそれだけ影響も大きいもんね。アメリカの賠償に比べたら全然低そうだけど。
魔理沙:
アメリカなどでは、あまりに悪質な不法行為の場合は、「懲罰的損害賠償」という、「加害者の行為が悪質かつ、強い非難に値する行為だった」と認められる場合には、裁判所や陪審の裁量によって、加害者に課せられた損害賠償に加えて上乗せして支払うことを命じされる賠償制度があり、賠償額が数倍に跳ね上がるようなこともあり得る。
霊夢:
こわぁ……それじゃ本人もそうだけど、家族の人生も滅茶苦茶になっちゃいそうね……。
魔理沙:
日本にはこの法制度はないが、こういった警察や消防に対する悪戯、虚偽通報などは犯罪だ。彼のように、その時のノリや思い付きで、このような行為に及んでしまえば、大勢の人間に迷惑をかけ、本来助かるかもしれなかった命や時間、お金が失われることにもつながる。
これは単純ないたずらのほかに、窃盗やひき逃げ、痴漢やストーカーなどの被害者を装い、誰かを陥れようとしたときも罰せられるので注意した方がいい。
霊夢:
全然知らなかったわそんなの……。
魔理沙:
それに、相手が警察などの公務員ではなくても、公共の場で、店員や通りすがりの人などに、虚偽の犯罪情報を流布し、結果的に警察組織が動いた場合、偽計業務妨害罪などに問われる可能性もあるので、絶対に軽い気持ちでやってはいけことなんだぜ。
霊夢:
そういえば、SNSとかで犯罪予告したりして、捕まった人とかいたもんね……。
魔理沙:
今回はアメリカでの少し珍しいケースの事例だったが、私たちも他人事だとは思わず、こういった行為には必ず罰が与えられることを覚えておきたいな。
霊夢:
そうね……絶対悪戯通報とかしないけど、知っておいたほうがいいわね。
なんとなくついてしまった嘘が、後戻りできない事態を招いてしまいました。
この解説をノーカットで聞きたい方はぜひ動画を視聴してみてください。
『【2013年米国】少年「湖の上で船が炎上してるぞ!」虚偽通報を行い、懲役刑と5000万円支払い命令が下り人生終了【ゆっくり解説】』
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