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行動経済学で読み解く選挙公約。「私たち、“子ども手当“とか“高速道路無料化“で痛い目にあったはずなんですけどね」

行動経済学の理論で選挙公約を読み解く

田中:
 今の選挙(放送当時は10月9日)も「消費増税凍結」「増税確実」とか言ってますけれど、それはニセの論点です。目先のスローガンに騙されてはいけませんね。経済政策は全体像の中で消費税のあり方を見なければなりません。ですから、各党の公約に釣られて経済政策の行方を見誤ってはいけないなと思います。

勝間:
 あれも双曲割引【※】を使った手法なんですよ。

※双曲割引
「遠い将来なら待てるが、近い将来ならば待てない」という、非合理的行動を説明する概念。例えば「1年後に1万1000円もらうのと、いま1万円もらうのと、あなただったらどちらを選ぶか」と聞かれて、ほとんどの人はいまの1万円を選んでしまう。

田中:
 まさに(笑)。

勝間:
 できっこないってわかっているのに、目の前にぶら下げられると飛びついちゃう。

田中:
 ユリノミクスの「12のゼロ」だっけ? 「花粉症ゼロ」はオレも実は「いいなぁ」なんて思ったけれど(笑)、あれなんかも目先の少数政党がワンイシューで掲げる目標を、ただ12個並べてみました! というようなものだから。

勝間:
 私たち、民主党政権のときに「子ども手当」とか「高速道路無料化」とかで痛い目にあったはずなんですけどね。

田中:
 今なんて、あのときより高速道路が値上がりしてるじゃないですか。誰が責任とるんですか。

勝間:

 誰もとらないですよ(笑)。私たち、あれで学んだはずなんですけどね。

田中:
 「満員電車ゼロ」だっけ? あのゼロを全部実現しちゃうと日本列島に人がいなくっちゃって「日本人ゼロ」になっちゃう(笑)。

勝間:
 実際に責任をとるときには、任期が終わってるんですよね。あれって、結果に対して「ゼロ」って言うんですが、本来政府は結果のゼロに対してコミットができないんですよ。政府ができるのはインプット側で、税金をとるとか、規制をかけるとか、インセンティブを変えることしかできないので、実は難しい公約を作っちゃってるんですよね。

田中:
 話を戻しますと、セイラーのやっていることは、見かけや短期的な利益の政治手法に対するリテラシーに役立つものです。我々は非合理性だけで行動しているのではなく、日常的には合理的に判断することに重きを置いています。あまり見かけに釣られないようにするためには、セイラーの本を読むことをおすすめします。

勝間:
 とにかく政治家、官僚が行動経済学に興味を持っていただければ、もうちょっと政策がましになると思います。ぜひこれを機会に、セイラーさんの著作を読んでほしいと思います。

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