「Googleや Facebookは世論を誘導することができる」――プラットフォームを独占する巨大IT企業に政治コメンテーターが警鐘
1月23日から26日まで、世界経済フォーラム(WEF、通称ダボス会議)がスイスで開催されました。
『山本一太の直滑降ストリーム』では、自民党参議院議員の山本一太氏と、コメンテーターの長尾俊介氏がこの話題に着目し、会議に出席したドナルド・トランプ大統領やオーストラリア人女優のケイト・ブランシェットさん、ハンガリー人投資家のジョージ・ソロスさんの発言を紹介。
さらにソロス氏がGoogleやFacebookなどの巨大IT企業に対して「社会を搾取している」とコメントした理由の解説も行いました。
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ダボス会議でのトランプ大統領と他国首脳の発言を比較
山本:
ついにトランプ大統領がダボス会議に行きましたね。寒いんだよねここ。
長尾:
今年は例年より多く雪が降って、雪に慣れてる参加者もかなり目を白黒させながら会議に参加したということなんですけれども、やはり一太さんが仰ったみたいに、目玉はトランプ大統領です。新聞記事の見出しにも書いてあるんですけれども、ダボスのエリート集団たちがトランプ大統領の一刺しに遭うということなのですが、例によって側近たちがシナリオを書いて、トランプ大統領に「これを読んでください」と原稿を渡したんです。それで珍しく、9割方原稿を読んだんです。
山本:
普通読まないのにね(笑)。
長尾:
でもそこは下馬評通り、トランプ大統領の左にクラウス・シュワブという人がいます。
山本:
この人はすごい人なんです。この人が世界経済フォーラムの創始者ですよね。
長尾:
1971年に世界経済フォーラムを作って、未だに会長の座にいるすごくベテランなんです。この原稿を読んだあとに、このシュワブ会長と一対一のセッションにトランプ大統領がフリースタイルでトークを繰り広げました。ということで、トランプ大統領の発言をまとめてみました。
各国首脳と言うことがだいぶ違ったんですね。結局フリースタイルになったら彼が言ったのは三つ。まずは「アメリカ経済は絶好調」。でも「アメリカ・ファーストはアメリカ・アローンではない」ということで、少し擦り寄っているんですね。それであのパリ合意にも、「環境の応援に戻ってもいいよ」というふうなことを言いました。
山本:
急にTPPのことも柔らかくなっちゃって。せっかくアメリカ抜きで合意したのにね。
長尾:
それとあとは例によって「フェイクメディア」と。今回はメルケルさん【※1】だったり、トルドーさん【※2】だったり、メイさん【※3】、マクロンさん【※4】が出席しています。自分たちの国で経済問題だったり、移民問題だったり、いろいろ問題があって話すのですが、当然世界的に共通する問題に関して話をしていまして、みんなに共通したのは環境問題。これだけいろいろな自然災害も起きていますし……。
※1メルケルさん
アンゲラ・メルケル。第8代ドイツ連邦共和国首相。
※2トルドーさん
ジャスティン・トルドー。第29代カナダ首相。
※3メイさん
テリーザ・メイ。第76代イギリス首相。
※4マクロンさん
エマニュエル・マクロン。第25代フランス大統領。
山本:
アメリカがパリ協定を離脱するときに懸念を示していましたからね。
長尾:
あとは第4次産業革命。AIだったり、マシンラーニングの台頭によって果たして今の職はどうなるのか、AIが仕事を奪うのではないかということですね。
難民体験ができるアクティビティ「Refugee Run」とは
長尾:
あとは移民問題ですね。トランプ大統領の発言とは対照的ですね。
山本:
トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」しか言ってないというのにね(笑)。
長尾:
この中でも移民・難民問題に関しては今回のダボス会議で取り上げられています。当然ながらヨーロッパでダボス会議をやっているので、移民・難民問題で比較的苦境に立たされている国が多いというのはあるのですけれども。
山本:
なんか有名な女優が……ケイト・ブランシェット?
長尾:
そうです。ケイト・ブランシェットさんはみなさんもご存知かもしれないですが。
山本:
エリザベス女王のイメージしかないです。
長尾:
私は逆に『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』で悪役をやっていたイメージがあります。そんなケイト・ブランシェットさんがダボスに来て、彼女は難民の救助隊です。左上に書いてありますように、「Cate Blanchett urges Davos to give refugees more compassion」、つまり「もう少し難民のことを思いやろうよ」と言っています。
それに関連する取り組みをダボス会議でもやっているのですが、ダボス会議は世間の人から持たれているイメージは、登壇者が政治の問題だったり、経済の問題を壇上で話し合って、みんながそれを聞いているっていう。
山本:
世界を代表するリーダーや大金持ちが来るというイメージがありますね。
長尾:
比較的やりとりがないと言うか、みんな黙って会議に参加するという感じなのですが、実はそうでもなくて、これは数年前から行われている難民に関連するアクティビティというか、Refugee Run(リフュージーラン)と呼ばれるセッションがあります。
山本:
「難民キャンプを経験しよう」みたいなツアーだね。
長尾:
そうです。普段は大金持ちでダボス会議に参加している人たちが、実際にこのRefugee Runを企画運営しているNGO団体の主導の下で、まさしく難民の経験をするんですけれど、衣服を剥がされたりとか、「すごくいい時計をしているけれど、それをくれたらここを通してやる」みたいなので、泣く泣く自分のロレックスを渡したりとか。
山本:
面白い(笑)。
長尾:
この人も社長だと思うのですが……。
山本:
銃を突きつけられてるね。
長尾:
いかに難民の人たちが自分の権利を剥奪されているかというのを経験します。
山本:
難民キャンプの食事も経験するんだ?
長尾:
実際に食べるかどうかわからないですけれど、自分たちの小屋を作ってみたり、その中で共同作業をしたり、寒空の下で昼寝をさせられたり……。
山本:
泊まるのかな?
長尾:
30分程度ですよ。じゃないと、たぶん発狂する人が出ちゃいます。
山本:
そうだよね。銃を突きつけられられたり、難民の食べ物を食べたりしても、その後に大金持ちの人たちが別のパーティに行ってすごい高級なワインを飲んでいる感じがしませんか。
長尾:
はい。少し皮肉になっちゃうんですけれども、一緒にこういう経験ができるというのを用意しているんです。
山本:
ちょっと茶番的な感じはするけれど、ないよりはいいですよね。これだけお金を持った人たちがこういう経験をして、難民問題に興味を持てば、寄付したりしますからね。
長尾:
実際にそういう社長たちが社員に「自分は先週ダボスに行って、こういうふうな難民の経験を共有したけれど、世の中にもほぼ一生この環境の中で生きていかなきゃいけない人もいるんだ」っていうような保護活動になるかもしれないので、あながち悪い点ばかりではないですね。