「商売のルールを中国に勝手に作られている」中国との商売に“軍事込みの圧力”が必要な理由を自民党議員が解説
自民党参議院の山本一太氏が番組ホストを務める「直滑降ストリーム」に同じく自民党参議院議員の青山繁晴氏がゲストで登場し、対中関係について対談を行いました。
法制度の不備による中国の日本の土地買い占め問題や、日本と中国の外交力の比較、そして「中国共産党は意外にも、どうすれば生き残れるかを模索している」と青山氏が中国事情について解説を行いました。
したたかな中国共産党の戦略を読み誤ってはいけない
山本:
いよいよ参議院議員の議員立法の排他的経済水域(EEZ)を何とか守ろうという法律の議論がはじまって、当然外務省も対中関係を考えて慎重になる。中国、外国人による土地所有の問題が出ていて、たとえばアメリカでもイギリスでも国益のために制限する法律はあるけれど日本はない。
たとえば「科学的調査について違法なことをやったら罰則を設ける」と、これは中国も韓国も持っている。そういう法律すらないというのはまずいと思うんですよ。日中関係は大事なんですけれど、こういう枠組みを粛々と作っていかないといけないと思うんですけど、いかがでしょうか。
青山:
日本の法制度の不備や、あるいは日本の実質国立と言っていいバイオ関係の研究機関の国家意識のなさ、国際法の枠組みや、お互いに対等だという意識がなくて、とにかく中韓の言うことは聞かないといけないという人たちがいます。
悪気はないんだけれども、小さいころからそういう教育しか受けていないから、何かあれば引っ込むというばかりで、国益も損ねている現場にもいたし、ショックも受けたし、口があんぐり開いたりしたこともありましたから。
山本:
法案の細かい中身ではなくて、すごく良かったと思うのは、関係省庁に説明を聞いたときに、青山さんは「自分は民間の調査をやっていたけど、たとえば中国の船をチェックしたことは一回もない」と。そう言ったらやっぱり役所は一言も何も言えなかった。だって行ったことないから。
こういう意味で言うと青山さんの存在は本当にありがたいと思うんですが、まずはメタンハイドレート【※】を資源として開発しろと最初に言ったのは青山さんで、しかも政府はその方向で動いてきたわけですけれども。
※メタンハイドレート
低温かつ高圧の条件下でメタン分子が水分子に囲まれた、網状の結晶構造をもつ包接水和物の固体。メタンは、石油や石炭に比べ燃焼時の二酸化炭素排出量がおよそ半分であるため、地球温暖化対策としても有効な新エネルギー源であるとされる。
きょうは海洋領域のことだけに絞ってしまうともったいないので、日中首脳会談があって、当然新しい日中関係が大事だと。中国もいろいろな思惑があって日本との関係を安定させたいと思っている。それは良いと思うんですが、日中関係が重要だと言いながら、尖閣諸島にはちゃんと接続水域【※】に潜水艦を送ってくるわけですからね。
※接続水域
領海の外縁にあり、基線から24海里の範囲で沿岸国が設定する水域。
そこらへんのところを総理が第一次政権のときに「戦略的互恵関係」というコンセプトを生み出しましたけど、青山さんはどう思いますか。
青山:
中国共産党を誤解してはいけないのは、習近平さんが方針を決めて、共産党はそれで全国人民代表大会まで広げてまとまったと見えても、それ一本で行くということはないんですよ。それがチャイナです。一太さんが我が諸国とすると、つねりながら、くすぐりながら、足で股間を蹴って、なでなでもすると。
山本:
痛い痛い……。
青山:
そういうのがチャイナなので、何も驚くに値しないですね。残念ながら我が外務省は外交のプロなのですが、よく言えば素朴、はっきり言うと愚かじゃないかという部分も残念ながらあるんですよ。だからそこを読み誤らないことが大事で、常にはっきりした目的が一貫してあるわけですよね。
それは根本的には中国共産党という支配体制を5年でも10年でも長く続けるために、過去の王朝よりも今の王朝のほうがましなんだということを示さないといけないので、海洋領域では日本というわかりやすい敵を作って、手を伸ばして絶対に諦められないし、アメリカを恐れてきたけれど、中国こそが押し返すんだみたいなことも必ずやらないといけないし、全部に理由がちゃんとあるので、こっちが八面六臂で行くしかないんです。だから最近の動きで驚いたものは何一つないですね。
日本の学者はフィールドワークが足りない?
山本:
なるほど。ものすごくしたたかですよね。きょうは参議院議員の政策審議会に外交の国家ビジョンを作るプロジェクトがあって、日本を代表する政治歴史学者の五百旗頭真(いおきべまこと)先生がいらっしゃいました。
青山:
久々にお会いしました。全然お変わりなくて安心しました。
山本:
その五百旗頭先生も日本の外交について語っていましたけれど、日米同盟はしっかり堅持しないといけない。しかし同時に日中協商体制みたいな、中国ともある程度気脈を通じていかないといけないという話があったんですけども、その気脈を通じるということにも、青山さんが仰ったように、ナイーブな対応はいけないですよね。
先ほど青山さんにつねられて、頭を撫でられましたけれど、あらゆる方法で使い分けてやってくるわけだから、それに対する日本の対応って結構ナイーブなところがありますよね。
青山:
極めてナイーブで、笑っちゃうくらい「ナイーブ」という言葉も便利な言葉だけど、要は外交になっていないんですよね。
でもその根幹は、たとえば中国共産党の本性を知るには、中国共産党の人と直接目を見て話さないといけないし、中国人民解放軍が本当は党の軍隊というのも理屈で、実際は彼らはどういう方針で動いているか、それは軍人でないとわからない。
五百旗頭先生は立派な学者ですが、日本の学者は基本的にフィールドワークに欠けるんですよ。どちらかと言うと、一太さんは小学生のときに「お前は学者になるだろう」って言われたこと、ないでしょう。
山本:
ない!
青山:
あるわけないよね(笑)。いや、だから学者になる人って、大人しくて、ちょっと人見知りでっていう人。同じ勉強するでも、模範解答があったらそれに綺麗に合わせていくタイプの人が、一番いい成績を取って東大を出て学者になる。
でも本当は常に懐疑的で、先生がこう言ったらああ言う、自分で虫を採ってきていじっていたら「先生の言っていた虫と違う」と言う。そういう人が海外では山のように学者になっている。
山本:
そういえばフランス人の学者の友達はすごくひねくれていました。たとえばアインシュタインって、見ての通り人の話なんて全然聞かなかったらしいじゃないですか。数学もできなかったそうですね。
青山:
それは頭が数学者より上だからね。要するに、本来優等生が学者にならないんですよ。
山本:
その青山説は面白い。
青山:
知的好奇心というものは、いままでのものを打倒してしまうもの。一太さんが群馬県連からはじまって自民党をぶち壊していったようにね。
山本:
ぶち壊してないですから(笑)。
青山:
そういう学者が集まるのが国際学会で、僕はたまたまアメリカ地球物理学連合の地球物理学の学会に出るようになって、学者ってこういう人間かと思ったんですよ。つまり口八丁手八丁で、さっきのひねったり撫でたりを学者が飯を食いながらやるわけですよ。アメリカ人も、イギリス人も、ドイツ人も、フランス人も、インド人も、中国人も。
山本:
それすごくわかるな。とにかく日本の学者はフィールド経験が足りないと?
青山:
五百旗頭先生はフィールドワークをされているほうだと思いますけれども、中国を読み解くとか、日中関係を読み解くとか、日本の自由民主党の政治家は、厳しいことを言うと、物を知らない人に聞いているわけですよ。
だから聞く相手が違うと思うんですよね。残念ながら日本の学会はそういう現状だから、国会議員は本当は国会開会中でも自由民主党から日本共産党に至るまで、お互い許し合って海外へ行って共産党員の目を見て話をしたほうがいいと思います。