中国のIT産業の発展に共産党のネット規制は貢献しているのか プログラマー小飼弾が考察「人口が多いから発展しているようなもの」
💡ここがポイント
●ドワンゴ川上氏が中国のネット管理について「最適解を選んだ」旨の発言。
●ネット検閲による保護の中国経済への貢献に、小飼氏は人口増加の影響を指摘。
●小飼氏は保護をやめた場合の中国経済の発展について疑問を呈した。
AI時代になったときにどのような未来が来るのか。
株式会社ドワンゴCTOの川上量生氏は、東洋経済オンラインで、GoogleやFacebookなどの海外サイトの使用を規制する中国のネット管理政策について「中国としてはそのやり方は正しい」という主旨の発言をしていました。
これを受けて、9月3日の『小飼弾のニコ論壇時評』にて、小飼弾氏と山路達也氏のふたりが、川上氏の「最適解」という発言に対し、「最適か?」と疑問を抱きました。さらに“グレートファイアウォール”によって守られた中国のIT産業が発展していくことに関して「人口が多いから発展しているようなもので、一人あたりのGDPはまだまだだ」と述べました。
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中国のIT企業が発達できているのはなぜか
山路:
川上会長の最近のAIの発言とか、違法ブロッキングとか、かなり積極的にいろんなところで自分の意見を。
小飼:
積極的に日本中国化計画を進めていますね。
山路:
東洋経済オンラインで、中国のネット管理政策について「中国としてそのやりかたは正しいよ」という主旨の発言をしているんですよね。これは別に、中国が正しいと言っているのではなくて、中国という国がそのときの選択肢として監視社会を選ぶのは「最適解を選んだよね」というような文脈で発言しているわけですけど。
小飼:
最適か?
山路:
ただ、そこのところで、そういうコンピューターによる監視社会みたいなものというのは、結構、彼は肯定的に紹介していたな、という印象を受けるんですけど。
小飼:
コンピューターによるじゃないじゃん。とりあえず煙たそうな言葉があったら、それをリストに加えるというだけ。
山路:
今、中国がやっているのは、大きなIT企業がグレートファイアウォール【※】オヴチャイナで守られて、大きなIT企業が育ち、なおかつすごい個人情報とかを流通させて大儲けしていたり、産業が発達していたりと、そういうところが川上会長的には「うらやましい」と。
※グレートファイアウォール
中国におけるネット検閲システムのこと。中国共産党や政府にとって不都合な情報にアクセス出来ないように接続制限をかけている。
小飼:
得がない。それはもう人口ボーナスというやつで。たとえば中国発のAIサービスで世界に広まったものってあります?
山路:
アリババ【※】とかどうなんですかね。サービスで言うと、ハードウェア、通信機器のメーカーなんかでは世界に広まったとは言えますけどね。
※アリババ
中国の情報技術などを行う会社。企業間電子商取引のオンライン・マーケットを運営。
小飼:
ハードウェアに関しては、他が手退いちゃいましたからね。
山路:
ネットワークとかパソコンとかに関して。
小飼:
そういうことですね。
監視社会があるから中国のIT企業は伸びているのか、それともあれがなかったら今みたいな成長はなかったのか
山路:
これは弾さん的には、今うまくいっているように見える中国の監視社会みたいなものって、中国の人口が増えていて、そこのところを取っているから上手くいったという。
小飼:
中国自体がでかい世界なので、グレートファイアウォールオヴチャイナがあっても市場として十分なんですよ。
山路:
もし仮に中国がグレートファイアウォールオヴチャイナみたいなものを取り外したら、中国は落ちるんですかね。上手くいかなくなるんですかね。監視社会があるから中国のIT企業は伸びているのか、それともあれがなかったら今みたいな成長はなかったのか。
小飼:
そこは良い質問なんですよね。というのも、「開発独裁」という言葉があるじゃないですか。要は発展途上中であれば、壁を設けてもいいと。外からヤバいものが入って来るのを防いだうえで、十分強くなってから壁を外しましょうと。日本の場合はそんな感じでいったんですよね。ちなみに、日本が新幹線の借金を返し終えたのは1990年ですよ。意外と最近ですよ。
山路:
高度経済成長期はとっくの昔に終わってから。どの国でもある意味未熟な産業というのは、保護政策を取ったりするものですけど、中国はもうその段階は過ぎているのかな。どうなんでしょう。
小飼:
ただ、一人あたりでならしてしまうと、中国はまだまだなんですよ。
山路:
一人あたりのGDPでいうと。
小飼:
はい。だから米国の半分としても、中国全体のGDPが米国の3倍くらいいかないと、壁を外して上手くいくかというと、ちょっと疑問なところはありますね。
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