なぜ『シン・ゴジラ』は女子たちをヒートアップさせたのか? 「内閣の周辺、顔面偏差値が高すぎ!」胸キュンポイントを赤裸々トーク
ゴジラ可愛い!ゴジラの萌えポイントと、気になるあのシーンやあのセリフ
両角:
さて、今度は「ゴジラの可愛さ」について、ちょっとお聞きしたいなと思ったんですが、
金田さんは私物の蒲田くんを持ってきてますね。
金田:
これは私物で3000円くらいですかね。なんか今、ツイッターで自分で作ったゴジラのぬいぐるみがけっこう流れてきてて、もう早く売ってよ!っていう感じですよ。
ひらりさ:
ゴジラが壊した街をゴジラのゆるキャラで復興していくスピンオフが観たいです!
両角:
どの形態のゴジラが可愛かったか、アンケートをとりまして、その結果がこちらですね。
金田:
あ、やっぱ第二形態だ、蒲田君だ。第四形態はやっぱかっこいいからね。第一形態選んだ人すごいよね、海洋生物マニアだよ。
両角:
でも第二形態って、最初に観たときびっくりしませんでした?私、最初は、この子がゴジラと戦うんだって勘違いしちゃって。
金田:
私もゴジラじゃないって思った。観る前からさすがに第四形態の姿を知ってたんですが、それとは色も違うし。
ひらりさ:
赤いグジャグジャがビシャーッて出てるあの蒲田くんがダメで、ちょっと見られないっていう人がいますよね。グロそうだからイヤだみたいな声もけっこうありましたよね。
金田:
キモイって思われがちかな、目が死んでるのとかね。私も最初はキモイって30%くらいは思ったはずなんだけどなぁ。
両角:
でも、最初は引くけど、二回目は可愛いってなっちゃう(笑)。
西森:
ツイッターでかわいい蒲田君を見たおかげで、二回目以降は可愛く見えてくるっていうのがあったかも。
金田:
そうそう、2回目からは「ほんと可愛いなぁ、この動き」って思った。
両角:
みんな「キモ可愛い」にシフトしていく感じですよね。
ひらりさ:
そういえば、矢口が初めてゴジラを見たときに、完全に魅入られた顔をしてましたよね。
金田:
そう! あれはもう人が恋に落ちた瞬間を見てしまった感じ。
西森:
他の人に「もう行きますよ」って促されてるのに、一人だけずっと見ていたいみたいな感じでしたよね。そういえば原子力規制庁職員の黒田さんも、パソコンでゴジラのDNAを見ながら「ふふふ」って半笑いしましたよね。
金田:
あ、確かに黒田さんは笑ってたし喜んでた。まぁ、ゴジラと黒田と矢口との三角関係だな。
西森:
でも、黒田さんはゴジラの形態ではなくて中身が好きなんですよね。
両角:
矢口さんは一番最初から携帯で動画観てました。
ひらりさ:
矢口さんはゴジラと会った時も「もっと違う形で出会いたかったよ俺たち」みたいな顔してましたよ。
金田:
もう完全に『君の名は。』みたいな感じで恋してる感じだね。
両角:
このゴジラってキャラクターとして見ていくと「慣れていく」っていう感じですよね。放射熱線を吐き出すところなんかは、やっぱ怖いって思いますけど。
金田:
私はあそこのBGMが庵野さん的ですごいよかった。
両角:
絶望的な感じが出てました。
金田:
絶望っていうか、私はあそこはなんか神々しくて、自分がそこにいなくて安全だから言えるっていうのもあるんだろうけど、なんかまさに神だなって思った。思いがけずいろんなところから光が出てたりしてて、美しいなって。シン・ゴジラのいいところを3つ選べっていわれたら、あの神々しいシーンと無人在来線爆弾と蒲田君だな。
ラストの尻尾の謎、どう思いました?
西森:
私ね、鈍いから全然気づかなかったです。
金田:
何人もの人間が苦しそうにしている?みたいな映像で終わるんだよね。
両角:
そこをさまざまな解釈をしてる人がいるんだけど、たぶんそこは明確な答えを持たせずに作ってるんでしょうね。
金田:
私、尻尾の先に人間が一人だけ見える映像も見たんだけど、それが牧教授なのかなって思った。牧教授がゴジラを呼び覚ますだとか、ゴジラと一体化してるだとかいろんな説があるのでね。私はてっきり、尻尾がヘビになっているニワトリで、実はヘビの部分が本体である「コッカトリス」みたいな生物なのかなって思ってましたね。
両角:
私は、最終的に進化していく過程で、人型になっていき、ぎりぎりのところで凍結したのかなって。その名残が尻尾の先に現れたのかと。
金田:
すごいたくさんのゴジラになって群体化して飛散してくみたいなのもありますよね。まぁ、あまりはっきりと分かる感じではなかったし、牧教授の謎も解かれないままだし、まぁ好きに解釈してっていうエヴァンゲリオンの時と同じような感じなんですかね。
西森:
あの教授のメモの「好きにしろ」みたいなのも、最初は何の事か全然分からなくて、3回も見てると、ほんとそれが気になっちゃって、じゃあ4回目も観るかって気になってるんですけどね。
両角:
すごく凝縮されていてスピーディに作られてるので、観れば観るほどにいろいろ想像出来てしまうという面もありますね。
凝固剤はゴジラの◯◯から入れたほうがいいかもしれない
ひらりさ:
もしかしたら巨災対で、金田さんのBLの知識が必要になるっていうこともあるかもしれないですよね?
金田:
それだ!! BL担当官として呼ばれたらふつうに行く(笑)。
ひらりさ:
もしかしたら肛門の知識も必要になってくるかもしれませんし。
金田:
肛門の知識は大事だよ! あ、でも肛門の知識がいるなら医学のほうじゃないのかなぁ。
西森:
まぁ、だから巨災対にいても全然おかしくないってことですよ。
金田:
じゃあそれホメ言葉として受け取っておきます。
ひらりさ:
最後ヤシオリ作戦で凍結させる時だって、凝固材をお尻から注入したほうがよかったかもしれませんしね。
金田:
あ! それ一つ言わせてもらえば「ゴジラに肛門があるのか問題」っていうのが、けっこう自分の中で大きいんですよ。排泄器官要らないんじゃないかっていうね。
両角:
そうですよね、食べてないですもんね。
金田:
肛門があるなら肛門からのほうが入れやすいもんね。吸収度もいいし。あんな細いもので口からいれるとなると、奥までいれなきゃ子どもみたいに口からザバーって出ちゃうだろうしさ。やっぱ座薬だよ。
両角:
ゴジラの可愛さの話をしていたんですけれどもね(笑)。
金田:
あ、いや、だからそういうところも含めて、バックスタイルももっと見たかったなっていうね。
両角:
とにかくあのゴジラってキャラクターとしていじりやすいんですよね。
ゴジラの手の平が上向きである意図
運営:
ユーザーから質問です。「ゴジラの手の平が上向きであることがこれまでのゴジラと違う点ですが、あの意図をどう感じますか?」
金田:
確かにそうだよね。
ひらりさ:
あれは神仏が宝玉を持っている時の手の向きと同じって何かに出ていましたよね。
金田:
だから神なんだよ、やっぱ。上向いてると怖いけど神々しいしね。下むいてるとオバケっぽいしね。それ以外の蒲田君って実は猫っぽいって思う。
両角:
今回のゴジラには神々しさがあるというお話がありましたが、そもそも野村萬斎さんは「人ならざるものをやっていたから頼まれた」っていう話があって、やっぱりちょっと人間味が薄いという感じはしますよね。特にミニラみたいな人間味のある怪獣たちと比べると(笑)。
金田:
でも、ミニラが出てくる頃のゴジラは、もうすでにキャラクターがかなり崩れていて、本当にコメディーリリーフ的になってるし、アンギラスほどの不遇ではないにしても、ちょっとおかしな感じになっていたらしい。けど、その流れは払拭されたって感じですね。
両角:
最後のゴジラから今回まで12年空いてるんですが、それまでの積み重ねで出来た定石を崩すのってすごく大変だったりするんでしょうね。
金田:
そう。平成ゴジラで切り替えたけど、それがだんだんエヴァっぽい話になっていってね。
両角:
時代とちょっとそぐわなくなってきた部分を調整していくと今度はゴジラ性が失われていってしまうということもあると思うんですが、そこを今回は3.11を想像させるような、リアルな災害のシーンを併せ持たせて人間が感知し得ない事象に対してのどうしようもなさを合わせ持たせた感じがします。
金田:
今回は、そこが目玉でしょうね。そこで活躍するのが自衛隊や軍ではなく、政治家とか官僚だったし、さらに恐ろしくて神々しいのに時にキュートな、でも人間味のないゴジラっていうのを描いたわけですね。
両角:
で、これを最終的に日本人は凍結した後で、ゆるキャラとして観光地化していくっていうね(笑)。火山口みたいな怖い場所も観光地になってるわけで、やはり怖いもの見たさがあるのかなって思うんですよね。
金田:
そう、いつ死ぬかわかんないし。エベレストとか登る人ってなんで登るの? とか思うけど、あれはそこに山があるだというわけで、だからゴジラもそこにゴジラがあるから、ということで観光地になるんだろうなぁ。
両角:
危険だけどどうにもならないものを見たいという欲は、矢口のゴジラへの恋心にも通じる。
金田:
そうだよね、最後に屋上で俺とゴジラ2人きり、みたいな感じだったもんな。こいつを落とすまでは、みたいな感じだったもんな。
1つだけゴジラに関して許せないことがある!
金田:
あのですね、私、ゴジラに関して1つだけ言いたいことがあるんですけれどもね。これ細かいこと気にするなよとかNGですよ?
この映画、「進化」というものに関する議論が非常におかしいんですよ。
一般論的なロマン的な捉え方で「進化」が“段階”だと思っているんですよね。矢口がそう思ってるならいいよ。でも、科学者である尾頭ヒロミのセリフなんですよ。「ゴジラは遺伝子情報量が人間の8倍である。だからゴジラは、もっとも進化している生物であることが証明されました」って。でもね、進化論でいう進化ってそういう概念じゃないから!
そこでこれを指摘する人いない巨災対って大丈夫か? って思いましたよ。人間よりも遺伝子情報が多い生き物なんていっぱいいます。ゴキブリだって人間より多いんです。進化っていうのはどんどん複雑化していくということではないんですよ。
両角:
一個体ではならないってことなんですか?
金田:
一個体でならないということを問題にしてるわけではないんです。問題なのは、進化論の理解がかなり昔で止まってるっていうところ。まぁ、でも「それはあえてそうしたんだよ」って言われたら、もうそれはしょうがない。エヴァの時からそうだったんだから。
でも、進化っていうのは複雑化して、結果、有能なものが残っていく、ということではないんです。99パーセントがランダム。
だから、「話を面白くする」ということと「どんどん人間が成長していって神に近くなる」ということと「今の進化で最も優れているのは人間です」ということを言いたいがために、進化という言葉をロマン的に使うわけなんだけど、それってそもそもダーウィンの言っていたことと反対の、ほぼ宗教的な感覚なんですよ。「今、最高に進化している生物はこれだ」なんて断定はできないんです。だって、今この世界に生きてる生物はみんな同じ進化段階にいるんですから。
両角:
どの生物が優れているかっていうのは、その状況下次第で変わってくるっていうところもあるんですかね。
金田:
いや、優れているかどうかなんて判定不可能ですよ。たとえば、もし「生き残ること」によって優れているということが判定できるとしたら、それは生き残ることによってでしか判定できない、つまり事後的にしか判定できないんです。
そして、生き残ってこれたという生物を古生物学で調べてみると、99パーセントが、それまでまったく起きたことのない火山の爆発なんかで死んでるんです。生き残れたのは有能だったからではないんです、偶然なんです。
西森:
ゴジラの遺伝子を見て、今まで誰も見たことのないものだからこれは進化したものだよ、みたいなことは言えないんですか?
金田:
言えないですね。それは、今までただ誰も発見しなかっただけのこと。でもこれ、一般人が言ってる分にはいいんだよ。問題は、科学者が堂々と言っているっていうところなんですよね。それに、生物学系の教授もその場にいたでしょ? そこで24時間いっしょに暮して、性格もある程度知ったうえで、ツッコミいれてもしょうがないなって思うかもしれないけど「いや、その進化概念ちがうよ」ってあそこにいる人なら言うと思うの。私があそこにいたら、仮にBL担当だったとしても言うね。
西森:
黒田さんに言ってほしかったっていうのありますね。
金田:
あの辺りのついていけない話のせいで、結局、折り紙のくだりで「わ、気が利いてる!」って感じが全然しなかった。
みなさん、あれってトランス状態になりませんでした?
西森:
私は、折り紙が出てきた時には、もう何がなんだか分からなくってついていくしかないみたいな感じでした。
両角:
私たちは専門的な言葉って分からないじゃないですか。わからない専門的な言葉を延々と連呼され続けると、トランス状態になるんですよね。
金田:
「董卓討つべし」(おもしろ三国志による楽曲)みたいな?
両角:
そう(笑)。で、フワーッとなった状態のところで折り紙なんて出されると、「わ、折り紙だったんだ」ってなっちゃうっていう(笑)。
ひらりさ:
サブリミナル効果みたいなところありますよね(笑)。
両角:
そうなんですよ。念仏みたいなものをずっと聞かされてて、トランス状態になったところで「ゴジラ凍結!」みたいなシーンを見せられるとすごい爽快感を感じる、みたいな。
金田:
良く分からない言葉を聞かされて、ストレス感じてるところにいきなり無人在来線爆弾!みたいなのがきて、「わっ! 仕組みは分からないけどなんか分かる!」みたいなことにはなるよね。カタルシスが…。
ひらりさ:
ジェットコースターで上がりきった地点から落ちる時のような感じ。
金田:
ああ、あの早口で、かつよく分からない言葉をずっと聞かされた結果ね。
両角:
みんな思考放棄しますよね。でも、分かる人にとっては引っかかりを感じるんでしょうね。
金田:
いや、みんな進化論は興味ないから、私がおかしなこと言い出したなって思ってるかもしれないけど、あれがもっと身近なことだったりしたら、みんな私みたいになると思うよ。
難しい言葉の連呼は念仏?
運営:
ユーザーからの質問です。「押井守さんが哲学や虚学的な言葉遣いをしてめくらましをしているようなことを、庵野さんは実学的な言葉でやっているのではないかと感じました。みなさんはどう思われますか?(京都府30代男性)」
両角:
手法はかなり似てると思いますね。劇場版「パトレイバー2」でも会議の最中にブツブツ難しい言葉をつぶやいて印象に残すシーンが描かれてました。自衛隊の用語とか役職の名称とか全然分からないから、それが続くだけで完全に念仏状態になるんですよね。だから手法は似てる気がしましたね。
金田:
まぁ好きな人にとっては超楽しいってことになるんだろうなぁ。でも、すごく頭良さそうな人たちが頭良さそうな言葉を連呼するのって、普通にありがちな手法のような気もするんですよ。小説や漫画なんかでもありますしね。ただその中でやはり整合性はとれていてほしいっていうのはあるわけですよ。
ただ、でもね、エヴァの時代に間違った「進化」の使い方をしていたっていう事を、批評家の方がツイッターで教えてくれたんです。それに真剣に20年つきあった人たちにとっては、今回の「最も進化した生物と言えます」っていう例のセリフが出た時に「出~たぁ~!」ってすごい面白かったらしいのね(笑)。
両角:
「よっ進化っ!」みたいな(笑)。庵野さんの作品を見続けてきた人にとってはお約束みたいな気持ち良さもあるんでしょうね。
金田:
そうそう。それで、エヴァの時にさんざんみんなが言ってたけど「やっぱ意味なかったぁ~」ってなって、もうこれはこれでいいと思った人が多い感じ。私はそういう歴史を経てこなかったがために急に怒り始めたんだけど、「俺たちはそんなの何十周もしてるから平気だよ」っていうのがじんわりと伝わってきたな。
両角:
では「進化」以外では何かありましたか?
金田:
そういう爆破解体を可能にする技術は存在するのかもしれませんが、ビルがまるで意思を持ったかのようにゴジラの方に倒れてくるところとか(笑)。あと、ゴジラの口に、まるで嫌がる子どもに歯磨きをさせるような装置がどんどん入ってく、みたいなところとか(笑)。
西森:
あれを見た時に、今でこそ普通になってきたけど、震災の時には「こんな感じでおさまっていくのか」っていう、けっこうアナログな感覚を覚えたのを思い出しました。
両角:
確かに、こんな原始的な方法でやるんだっていう感じがしました。
金田:
私は、ゴジラが冷温停止したのは安全装置が働いたことになっているけど、安全装置が働かなかったらどうするつもりだったんだろうっていうのは思ったけどね。あれは、見切り発車でやったわけでしょ? まぁね、それはそれで矢口にしてみれば死なばもろとも、みたいなところあったのかもしれないけどね(笑)。
ひらりさ:
矢口はやっぱり最後まで「俺がゴジラをどうにかしたい」っていう、わがままな感じがあったように思うんですよね。
金田:
やっぱ矢口は一番ゴジラ好きでしょう。だって一線超えたことあるなっていうぐらいの赤坂さんの言葉も耳に入ってなかったっていう感じあったもん。
ひらりさ:
私は、長谷川博己さんの顔みてると、だんだんゴジラに似ているような気になってくるっていうのがありましてね。
金田:
あ、そうなの? じゃあ今度もっとよく見てみる。