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「出版社に預けておけば本が勝手に売れる時代は終わった。」漫画家が絵本のプロモーションにミュージックビデオを使った理由とは

 7月5日に放送された『ニコ論壇時評』では、漫画家の山田玲司氏が「出版社に預けておけば勝手に本が売れる時代は終わった」と語りました。

 出版不況のいま、山田玲司氏が、自身の最新作である絵本「UMA水族館」のプロモーションビデオにプロデューサーとして関わった理由とは何なのでしょうか。

画像は『UMA水族館』Amazonより。

出版社に預ければ勝手に売れる時代は終わった

山田:
 漫画家は、今までは出版社に預けておけば勝手に売ってくれたんだけど、もう、そんな時代は終わった。では、どうしたらいいか? 僕はそんな時代の最中に絵本を出しました!

乙君:
 出しましたね。この絵本、どんな人に読んでほしいと思って描いたんですか。

山田:
 先入観のない今の子供未来の子供。そして、なんとなく心が固まって笑えなくなってしまいがちな大人の人かな。

 社会が経済的に困窮してから、日本人ってあらゆる事に対して「見返り」を求めるようになったと感じていて。本屋さんなんか「実用書」ばかりで、絵本ですら何らかの「効果効能」のある「知育系」とか「お勉強目的の絵本」が増えてるじゃん。

 昔の絵本って「なんだかわからない」という豊かさがあったんだよ。すべての絵本が「知育目的」になるのをすごく心配してる。今の人って、大人は「経済的成功」子供は「良い成績」という結果ばかりを求められて、心がクタクタになってるんだよ。そんな人達に「もっと自由でいいんだよ」「意味なんかなくていいんだよ」って伝えたいかな。

 でも、このままだと、この絵本は本屋さんに並んでも消えていくんだよ。じゃあ、どうやってこの面白さを伝えたらいいか。まさにUMA、未確認生物の絵本だけに、未確認絵本ですよ(笑)。

『UMA水族館』を執筆している山田玲司氏。

山田:
 本を出版社に預けておけば勝手に売れた時代は終わった。そのときに僕が思ったのが、未確認の才能のやつらだよね。本当は才能があるんだけどその才能が確認されてない人たちが、この番組をやっていると、たくさんいることに気がついた。

 番組で漫画を募集したり、音楽を募集すれば「マジか!? こんなすげえやついるのか!」、みたいなさ(笑)。それで今回僕が考えたのが、この絵本『UMA水族館』のPVを勝手に作って拡散するプロジェクト。

 要するに、ただ出版社に「頑張って売ってください」と言っているだけじゃだめじゃん? 僕みたいなベテランなんか特にそうだよ。僕にできることはないかと思って、 このPV作りました。映像は、ヤンサンファミリー【※1】の人がやってくれて、アニメは加藤オズワルドくん【※2】が作ってくれました。

※1ヤンサンファミリー
山田玲司氏が出演するニコニコチャンネル生放送『ヤングサンデー』の会員のこと。

※2加藤オズワルド
以前『ヤングサンデー』にて行われた「ヤンサンマンガ大賞」に応募した経緯を持つ、イラストレーター・アニメーション作家。

乙君:
 そもそも、なぜUMA水族館のPVを作ろうと思ったの?

山田:
 自分がプロデューサーとして携わる事で作品イメージにズレも生じないと思ったんだよ。いざ完成してみると想像以上に出来が良くて、驚いた。世の中にはまだまだ未確認な才能があるんだな、と。

乙君:
 全部手作りなんですよね。

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