「北朝鮮には対話でなく圧力を」「核ミサイルにつぎ込む資金を根絶やしに」河野外務大臣が“北朝鮮の非核化”に向けた計画を語る
北朝鮮との対話は、非核化に向けて明確な行動をしてから
山本:
ASEAN外交でも2プラス2でも最大の懸案の北朝鮮政策ですが、河野外務大臣は日米隙間のないようにしっかり連携していくということと、中国にしっかり役割を果たしてもらうことを強調してました。特に今日から米韓合同軍事演習がはじまって、25日に北朝鮮の先軍節【※】があったりして、みんな緊張していると思うんですけど、北朝鮮政策をどう見ていますか。
※先軍節
金正日が、軍事優先の政治を始めたとされる記念日。
河野:
ひとつは国連決議が今回は、かなり早い段階でまとまって採択されました。石油が入っていないというのは確かにそうなんですけども、石炭から鉄鉱石から海産物までかなりびしっと書き込んで徹底的に履行すると、おそらく北朝鮮にとって10億ドル以上の収入が減ります。
海外に労働者を派遣して、金を送り戻すことも人を増やしては駄目となりましたから、北朝鮮が核やミサイルにつぎ込んでいた収入を根絶やしにすることが大事なことです。もう一つは中国が貿易の9割を抑えているので、中国が何もしないと日米韓の軍事同盟が強くなって、どんどん防衛体制が強化されていくぞ、と。
山本:
ティラーソン国務長官もそういうことを言ってましたね。
河野:
それは、中国は放っておくとまずいと思って北朝鮮に対して真剣に向き合うようになるだろう、と。そこは真剣にやっていかなければならない。
山本:
ひとつ気をつけて答えていただきたいです。答えられる範囲でいいんですが、中国はいままで国連決議に賛同した部分があっても北朝鮮に対して制裁はやっていないと言っていました。今回の国連決議はかなり強いですが中国としては北朝鮮に対して本気で圧力をかけるという感触はありましたか。
河野:
中国は決められたことはきちっとやると言っていますから、北朝鮮に対して少なくとも国連決議はやるぞと。ただ、それが逆に東南アジアに逃げて行ったり、今日も新聞記事になっていましたけどロシアが北朝鮮に少ないとはいえ石油を出している量が倍になりましたとか。
そうやって制裁の漏れが出てくると効果を発揮しないですよね。そこはきちっとやらないといけない。ロシアに対しても石油は国連決議に入ってないからいい、とはならないんじゃないかと、言わなければならない。
山本:
河野大臣も強調していますが、北朝鮮に対してはアメリカとも国際社会とも連携して圧力強めていかなければならない。一方で金正恩氏は核開発を諦めないだろうから対話に力をいれるべきだという意見も出てきています。例えば世論でも圧力一辺倒だけでなく、対話をすべきだという声も出てきているのですが、そこらへん日本の基本姿勢はどうですか。
河野:
90年代の枠組み合意があったり、あるいは2000年代に六者協議やら何やらをやったけど結局は北朝鮮が時間稼ぎをしただけに終わったんだと思うんです。だから対話も必要だが、それは北朝鮮が非核化をします、という意思を明確に出してそれに向けて行動したときに初めて対話をしようということになるので……。
いま一生懸命に圧力と言ってる中で、「じゃあそろそろ対話にしましょう」とか、「軍事演習のあいだ大人しくしてたから対話にしましょう」とはやっぱりならないと思うんですね。そこは明確に非核化します、というのが大事だと思うのです。
山本:
なるほど。とにかくいまは日米韓連携して中国は国際社会として、しっかり北朝鮮に圧力をかけてそこで対話を引き出していく、みたいな流れということですね。
河野:
そうですね。