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VTuberの「卒業」「転生」は葬送の作法で乗り越えられる!? バーチャル文化を民俗学で捉える雑誌『Hukyu』の編集長に「VTuber界の俗語」の変遷を聞いてみた【諸星めぐるインタビュー】

記事の要約

民俗学大好きVTuber 諸星めぐるさんに、民俗学の魅力を聞いてみた

・諸星めぐるさんは、SNS上の書店GAMABOOKSの書店員として働く傍ら、VTuberとして民俗学や考現学などを扱った動画投稿や配信活動を行っています。

・諸星さんにとっての民俗学は、大きな歴史からこぼれ落ちそうな人々の「当たり前」をまとめ、点と点をつないでいく学びの視点と語っています。

・民俗学や考現学を扱う上で、様々な価値観を否定せず、分野の広がりを伝えること、そして視聴者に気軽に質問してもらい、学びの楽しさに繋げることを大切にしています。

なぜ雑誌を作るのか……消えていく「今」を残したい! 編集長としての想い

・諸星めぐるさんが編集長を務める雑誌『Hukyu』は、当初は同人誌的な気持ちで企画されましたが、予想以上の反響を集めました。

・『Hukyu』は、VTuberに限らず、運営やファン、研究者など、VTuber文化を支える多様な人々の視点を含めて「今」を記録することを目的としています。

・VTuber活動の終わり方によってはリスナーとの時間や文化が消えてしまうことがあり、それを残したいという思いがあったと諸星めぐるさんは語っています。

諸星めぐるさんと「VTuber俗語集」を読む……「VTuber」って何?

・「VTuber」という言葉は多様な意味を持ち、一言で定義するのが難しいほど、現在のVTuber活動は多様化しています。

・『Hukyu』では、VTuberの定義を「バーチャルのアバターを扱う配信者」としていますが、VTuber自身もそれぞれ異なる「VTuber」の定義を持っていることがインタビューで明らかになりました。

・民俗学的に見ると、ハローキティや初音ミクのようなキャラクターもVTuberの「親戚」と捉えることができるかもしれません。

VTuberの「魂」はどこに宿る? VTuberと伝統芸能の意外な共通点

・配信者が生身で活動していても、その「魂」がバーチャルに帰属していればVTuberと捉えることができます。

・VTuberの「中の人」を知ろうとすることがタブーとされる背景には、モニターの向こうのVTuberを「異界の存在」として捉え、正体を探らないという禁忌に通じる感覚がある可能性があります。

・能楽や文楽のように、見えない部分や余白を鑑賞者が想像で補って楽しむ伝統芸能の感覚が、中の人が見えていても「バーチャルな魂」が存在すると認識するVTuberの楽しみ方と共通しているかもしれない。

VTuberの「卒業」、そして「転生」……心を整理するコツは葬儀にアリ?

・VTuberの「卒業」に対するファンの心理は、古くから存在する「呼び戻したい気持ち」と「無理な介入は逆効果」という双方の伝承に当てはまる部分があります。

・恐山のイタコによるグリーフケアや、死者を埋葬する前に行われた「殯(もがり)」のように、VTuberの卒業に際しても、残されたファンが気持ちを整理するための期間や儀式が有効であると考えられます。

・VTuberの「転生」は、昔からある生まれ変わりの話と捉えることができ、受け入れられる場合もありますが、「殯」のような納得するためのインターバルが不足すると批判的な意見が出やすい可能性があります。

『Hukyu』の今後の展望と、読者へのメッセージ

・雑誌『Hukyu』は今後も継続していく予定で、VTuberに限らず、VRの世界で育まれている「よしよし文化」のような多様なバーチャル文化に焦点を当てていきたいと考えています。

・VTuberへの取材も引き続き行い、「出たい」、「喋りたい」というVTuberがいれば積極的に話を伺っていく意向です。

・諸星めぐるさんは読者に対し、『Hukyu』を読んで感じたことや感情を大切にし、それらを共有することでバーチャル文化の「普及史」を現在進行形で楽しんでほしいとメッセージを送っています。

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