科学の力で尿を飲料水に!――宇宙飛行士が水も空気もない宇宙で生命維持する方法を解説「宇宙ステーションでは尿をリサイクルして飲んだりします」
日本科学未来館にてトークイベント「宇宙飛行士と考える、地球と私たちとのつながり」が開催され、イベントの様子がニコニコ生放送で中継されました。
イベントでは宇宙飛行士の大西卓哉さん、日本科学未来館科学コミュニケーターの田代修平さんが、宇宙ステーションでの水と空気を確保する驚きの手段や、宇宙に行って変わった価値観の話題などのトークセッションを行いました。
来場者からの質疑応答のコーナーでは、来場していた児童から「どうやったら宇宙飛行士になれるのですか」という質問に大西さんが笑顔で答える場面も。
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宇宙ステーションで水や空気を確保するには
田代:
きっと大西さんも宇宙ステーションから地球を見たと思うのですが、こちらはどこの写真でしょうか。
大西:
これは宇宙ステーションの一番地球側のところにあるキューポラという場所で、窓がついているんですよね。
丸い窓の外に宇宙船が見えているんですけれど、宇宙船をロボットアームというクレーンみたいなもので捕まえる作業をしてるんですけれど、そういうふうに、宇宙飛行士が自分の目で宇宙ステーションの外を見ながら、いろんな操作、例えば地球の写真を撮ったりするための空間なんですよね。
田代:
宇宙船の向こうに見えている白いものは雲、青いものは海ですか。
大西:
そうです。海の上を飛んでいるところですね。
田代:
すごい景色ですね。毎日見ていたんですか。
大西:
はい。
田代:
いいですね。ところで宇宙で人間が生活しているということは、地球との共通点もあると思います。気になるのが、やっぱり何と言っても水と空気だと思うんですね。それがないと私たちは生きていけないので……。宇宙ステーションではどのように水や空気は維持されているのですか。
大西:
宇宙空間は基本的に人間そのままでは生きていけない空間なので、宇宙ステーションの中にちゃんとした空気を詰めてあるんですよね。なので僕らは普通の服で中で生活できるんですけど、当然呼吸するにしたがって酸素を使って二酸化炭素を出していくのですが、空気の質をずっと維持しなければいけないんですね。
なので、僕らが出した二酸化炭素を除去してくれる装置もちゃんとありますし、減った酸素を補充してくれる機械がずっと24時間稼働していて、常に僕らがちゃんと呼吸ができる空気っていうのを維持してくれているんです。
「地球で当たり前だったことは、実は素晴らしいことだと思いました」
大西:
水も、人間が生きていく上でとても重要な欠かせないものなのですが、宇宙ステーションに何かものを打ち上げるのって、お金がかかるんですよね。
水を都度打ち上げているとすごくお金がかかっちゃうので、宇宙ステーションでは飲料水をリサイクルしてるんです。もうちょっと具体的に言うと、僕らの体から出る尿をリサイクルして飲める状態に戻して飲んでいたり、自分の体から蒸発していく汗とかもエアコンで集めて、同じように処理して飲める状態に戻しています。
田代:
どのくらいの割合で戻ってくるんですか。
大西:
今は80%を超えてるはずです。
田代:
それだけお水は大切なんですね。
大西:
貴重品ですね。
田代:
宇宙に行って地球に帰ってきたということで、ご自身のお考えや価値観に非常に大きな影響があったのではないかと思うのですが、何かそういうことを感じたりしたことはありますでしょうか。
大西:
地球の素晴らしさを感じました。自然の素晴らしさというのでしょうか、宇宙ステーションの中はとても人工的なんですよね。ずっと何か機械が動いている音に満ちていますし、エアコンの風しか吹いていなくて。
地上に帰ってきたときに思ったのは空が大きいなっていうのと、自分の頬に当たる風の気持ち良さ、空気の自然の匂いとか、そういう自然の要素が全く欠けている世界にいたんだなと、あとになって気づきましたね。地球にいるときは当たり前だったことって、実はとっても素晴らしいことだったんだなと思いましたね。