日本はアニメ後進国になってしまった? 河森正治監督の発言を受け、評論家がアニメ業界の今を解説
12月24日に放送された『岡田斗司夫ゼミ』にて、河森正治監督の「日本はアニメ後進国」という発言に、パーソナリティの岡田斗司夫氏は「かつてのアニメ界の方がもっと酷かった」と指摘。加えて、アニメ制作志望者が減っている問題について語りました。
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河森正治監督「日本はアニメ後進国」
岡田:
『超時空要塞マクロス』シリーズにおいて中心的な役割を果たした、河森正治監督というクリエイターがいるんですけど、彼が自分の新作アニメの発表会の中で、「日本のアニメはいつの間にか後進国になっていた」と発表したそうです。
「学園魔法ものが何作品もあったり、テンプレートがあって、なんでこんなに似てしまうのかな? と思うこともある。作品数がたくさんあって、一見活気があるようだけど、世界の動きを見ていると、日本はヤバい。いつの間にか後進国になっている」と述べたネットニュース(ニコニコニュースより)が、今、結構流れています。
僕個人の意見から言うと、河森くんだったら、そういうふうに苛立つのもわかる。でも、ガンダム放映前の日本のアニメ界というのも、同じようなもんだったと思うんです。
これからのアニメを作るのはユーチューバー?
岡田:
『機動戦士ガンダム』が放映される前、ロボットアニメは腐るほどあって、しかもそのすべてが、1話ごとに変な敵が出てきて新兵器でやっつける、という完全なるテンプレート。同じような内容の繰り返しだったんです。
昔の時代を思い返すと、あのころよりは、今のほうがまだマシと思うんですよ。なので僕は、公開されるアニメ作品の傾向について、さほどヤバいとは思わないんです。
僕は、ユーチューバーのような人の中から、新しいアニメ作家というのが生まれてくると思っているんです。今のところ、半日で撮影から編集からアップまで行うという、ユーチューバー的な映像の作り方と、アニメーションは上手く重ならないんですけども、たぶん、もうすぐユーチューバーからアニメ作家が生まれてくるような時代になっていくとは思っています。
アニメ・実写映画の制作志望者が減っている
岡田:
アニメ界の危機というのは、アニメ業界に行きたがる人が減っていることだと思うんです。大多数のファンにとってのアニメというのは、完全に見て楽しむものになっている。
昔のセルアニメの時代だったら、制作の途上でいろんなミスが散見できたし、それを見て「このミスなぜだろう?」と、作り手側がどうやって作っているのかを感覚的に推理できた。
ところが、今のアニメというのはデジタル表現が入ってきているので、どうやって作っているのかという部分については、あまり考える隙がない。なにをしているのかがわかりやすい声優とかに、なりたがる人は山程いるんだけど、肝心のアニメーションの制作に行きたがる人はほとんどいない。
実写映画界でも、俳優さんになりたがる人は相変わらず多いんですけど、「自分で映画やドラマを作りたい!」という、裏方になりたい人はどんどん減っている。たぶん、完成度が高いものをあんまり多く供給していると、それに対して裏方になりたい人というのが、減ってしまうという面白い法則があるんですよ。
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