日本のアニメをダメにしたのはあいつらだ! 業界のタブーを本音でぶっちゃけ解説
12月24日配信の『山本寛✕岡田斗司夫公開トークイベント~僕たちのクリスマスナイト~』にて、アニメ業界では当たり前となっている“製作委員会方式”が「良いアニメをつくる足かせとなっている」という議論が勃発した。
複数社の出資によるリスク分散や、資金調達を容易にする目的で行われる制作手法だが、その「“製作委員会方式”に問題がある」と、山本寛氏と岡田斗司夫氏が切り込んだ。
製作委員会が様々な権利を握りたいがために、予算が10億あっても良い作品が出来ない
山本:
製作委員会というスキームそのものに問題があると思ってます。ここにメスを入れないとダメだということです。例えば中国の配信業者が10億出したとします。でも、製作委員会で「10億頂きました!やったー!」 とならないじゃないですか。
製作委員会の幹事会社が権利の40%、50%を握るためには、10億来てもらったら困るんですよ。 幹事会社の権利を40%得たいけど、4000万円しか出せません。ということは、予算総額は1億円で決まっちゃうんです。この瞬間に。
どれだけお金を出したい。10億でも、20億でもこの作品のために出すよって言っても、出せないんですよ。
岡田:
つまり、10億あったら、劇場アニメのすごくいいのができるし、中国の会社が10億でも20億でも30億でも出そうと言っている。ところが、中国の会社が20億も30億も出してしまったら、中国の会社の出資100%のアニメができてしまう。でも、お金が欲しいから製作委員会方式を取りたい奴らというのがいる。
結局それは、版権の窓口をやりたいとか、手数料取りたいとか思っているところがあって、アニメの制作予算として、2億以上かけちゃ困ると。だって幹事会社が4000万円しか出せないんだから、2億で4000万円だったら、やっとこれで20%じゃんと。20%以下に権利のパーセンテージが下がったら立場がなくなる。
中国の会社が20億出すならしょうがない、その20億円を10の作品で割りましょうというカタチで、作品を10ぐらい作って、個々の作品の予算上限を1~2億ぐらいや数千万にとどめたりして、コントロール権を握ろうとした。
山本:
だから、本数が増えたんです。
岡田:
俺の読みであってる?
山本:
ご名答です。1本が10倍に増えたものを受け止められる現場がないんです。だから、作れないんです。だから、落ちるんです。
岡田:
つまり、アニメに出資したがってる会社は多いんだけども、そういう版権ビジネスから手を引きたくないおっさんたちが、予算の上限を決めているから制作費が増えない。横の方向の制作本数だけが増えちゃう。じゃあ解決策としては、どうなのかというと、このおじさんたちがいなくなって、中国の出資者たちと直でつながればいいんだと。
山本:
いなくなれとまでは、言いませんけどね。
岡田:
この前呑みの席で、ある人に「そう思うんだけど、岡田さん言っちゃダメだよ」って、言われたんだけど。
山本:
言っちゃったか……。当分はそういったいざこざの中では、僕は生きられないと思っているので、だから、言っちゃおうと思ったんです。製作委員会を完全否定するわけではないんですけども、意識の変革や、もうちょっとお金を出さないといいものは作れないんじゃないかとか、もうちょっと作品一本一本を大事にしないと、アニメは盛り上がらないんじゃないかという意識は持って欲しい。
岡田:
そもそも製作委員会のおじさんたちの考え方からすると、いいものだけど、権利を取れないものを作られてしまうよりは、そこそこの作品で、安い金の中でいいものを作るのは慣れているだろうと、今回もこれぐらいでやってくれよ。その代わり3年後も、5年後も安い仕事をやるからさみたいなカタチで、10年ぐらい働かされてきたわけじゃん。
そろそろ奴隷の革命の時代がやってきたと俺は思ってる。