『おそ松さん』は女子ウケを狙っていなかった!? アニメPが、いま明かす誕生秘話「赤塚先生の原作をリスペクトするところからはじめよう」
リメイクで一番難しかった点は「絵柄が受け入れてもらえるかどうか」
富永:
本当に元の原作が、まず今見ても面白い。『おそ松くん』も改めて見直したら面白かったですし、そういうことではないかと思います。あともう一つ言うと私が『おそ松さん』をやっていたので、今なりに少し変更できる余地というか、ああいうのがあると少しいろいろ変えられるかなと。
作品によりますけど、今回はギャグものだったので、変えてもそこがまたギャグになるというのがあったのでそこは作品によるかなと思うのですが。
藤津:
普遍性というか、『おそ松さん』2期で「イヤミはひとり風の中」をリメイクするというのをやられていましたけど、どこかで『おそ松さん』では外せない要素だということがあったのですかね。
富永:
そうですね。やっぱり原作のエピソードは必ずやりたいというのはスタッフみんなで共有していて、あれはやっぱり先生の中でも名作のエピソードだと思うのでやりたいなと思っていたし、あれもちょっと逆にいじらしていただいて今なりのものにはできたかなとは思っています。
藤津:
原作は元々時代劇なのを昭和30年代に原作執筆時ぐらいに置き換えているという感じですよね。
富永:
そうですね。今の若い方が、時代劇よりはとっつきやすいかなという話はあったのです。そういうわけで時代背景は変えたということですね。
藤津:
逆に『おそ松さん』『おそ松くん』というものを扱っているがゆえにここは難しかったというところはありますか。
富永:
やっぱり出す前に一番不安だったのは、絵柄が受け入れてもらえるかどうかというのはすごく考えました。大丈夫かなと。今はどんなアニメも、ああいうシンプルな絵柄が少なくなってきているので、大丈夫かな? というのもあったし、あとはやっぱり原作の話を大きく変える時に、原作側との距離感とか。
今回のフジオ・プロさんは別に難しくはなかったのですけれど、やっぱりそこは我々がリスペクトして意識してやっていかないと、原作があって飯を食わせてもらっているというのがあるので、難しかったと言うとちょっとあれですけど、そこの距離感をしっかり考えてやるということと『おそ松さん』はやっぱり絵柄ですね(笑)。大丈夫かなとずっと思っていました(笑)。
天津 向:
ずっと?
富永:
はじまるまではずっと思っていました(笑)。
リバイバル作品は今度どうなっていく?
藤津:
リバイバルの情勢みたいなものはこれからどうなっていくと思いますか。
富永:
そうですね。やっぱりアニメも漫画も業界も歴史がだんだん長くなってきているので、結局言い方はちょっと違うかもしれないのですけどストックが増えてきて。
やっぱり私とか皆さんもそうだと思うのですけれど、自分たちが子供の頃熱中したものを、そろそろ今の若い子にもう1回伝えたいという思いが、それなりの歳になって、そういうことを提案して、そういうことを実現できる力がついてきた人たちがやる一つの選択肢というか。
だから増えるというか、これからまだ20代の子たちがそれなりに偉くなってきた時に、自分たちが小さい時に見ていたアニメをもう一回やりたいという気持ちになる子もいると思うのですよね。一定にバーンと増えるイメージはあまりないですけど、そういうジャンルとしてこれからずっと定着とは言わないですけれど出てくるのじゃないかなという印象はあります。
本当にアニメを応援してくれる皆様のおかげで我々は仕事をやらせてもらっていると思っています。
皆さんに喜んでもらえるものをこれからも頑張って作れるようにそのうちの一つの選択肢がリバイバルだと思うので新作だったりリバイバルだったり、これからアニメはいろんなものができてくると思うので、是非楽しみにしていただいて我々に仕事をやらせてください。どうもありがとうございました。
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